2016 Fiscal Year Research-status Report
ハプロイド細胞を用いたEBウイルス潜伏・不死化機構の探索
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16K15525
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 宏 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30303621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 好隆 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40754940)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | EBV / HAP-1 / 溶解感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
Epstein-Barr (EB)ウイルスは、多彩な難治性感染症・腫瘍性疾患と関連している。ことに、慢性活動性EBウイルス感染症やEBウイルス関連血球貪食症候群は、本邦を初めとした東アジアの小児・若年成人に多く発症する一方、その発症病理に不明の点も多く、治療法は確立されていない。ヒト由来ハプロイド細胞であるHAP-1細胞は、ゲノムを1セットしか有しないため、機能喪失型の遺伝子スクリーニングに適している。本研究では、EBウイルスを感染させたHAP-1細胞と次世代シーケンス技術を組み合わせ、網羅的な遺伝子スクリーニングによりEBウイルスの潜伏感染維持・不死化/腫瘍化に関与する宿主遺伝子を同定することを目的としている。同定した宿主因子を標的として、EBウイルス難治性疾患に対する新規治療開発を目指す。 初年度、まずEBウイルス陽性細胞をモニターできるように、大腸菌内での組換え技術を応用し赤色蛍光タンパク質とハイグロマイシン耐性遺伝子をEBVゲノムに組み込んだ組換えEBVを作成した。この組換えEBVをHAP-1細胞に感染させたHAP-1/EBV細胞を30クローン樹立した。これらの細胞株からウイルス粒子を産生させるためにBZLF1遺伝子を強制発現し、溶解感染誘導を行ったが、いずれの細胞株も誘導がかからなかった。 一方、HAP-1細胞にGene-trap用のレトロウイルスを感染させ、変異体ライブラリーを作成し、さらにherpes simplex virus type 1 (HSV-1)を感染させた。その結果、細胞障害効果を示さない変異体集団の単離に成功した。次いで、次世代シーケンサーにより宿主遺伝子のスクリーニングに着手し、興味深い結果を得つつある。以上より、HAP-1細胞によるスクリーニングシステムが動作することは確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EBウイルス潜伏感染細胞は、溶解感染を誘導することにより細胞死に至らしめることが可能である。溶解感染を誘導できなくなったクローンを得ることで、溶解感染に関与する宿主遺伝子を同定でき、これを標的とし、溶解感染/細胞死を誘導する新規治療法を確立できると考えていた。しかし、予想に反して、EBV感染HAP-1細胞に溶解感染誘導が起こらず、ウイルス粒子産生が行らなかったため、Gene-trap用のレトロウイルス感染のステップに進めないでいた。
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Strategy for Future Research Activity |
EBVが潜伏しているHAP-1/EBV細胞は得られているため、EBウイルスの潜伏に関与する宿主遺伝子の同定を優先して研究を進める。レトロウイルスによる変異導入により潜伏感染できなくなった細胞クローン(赤色蛍光を消失した)を選択し、潜伏維持に関与する宿主責任遺伝子の同定スクリーニングを行う予定である。 また、溶解感染を誘導できないEBV感染HAP-1細胞株は得られているため、これにレトロウイルス感染による変異導入を行い、溶解感染誘導できるようになった細胞株をスクリーニングし、溶解感染誘導に係る宿主因子の同定を試みる。
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Research Products
(1 results)