2016 Fiscal Year Research-status Report
二次がんを発症した小児における生殖細胞系列のがん感受性遺伝子変異の同定
Project/Area Number |
16K15533
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
加藤 元博 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 医長 (40708690)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児がんの治療終了後に起こる重要な晩期合併症である「二次がん」の発症の背景にある生殖細胞系列の遺伝子変異を探索し、二次がん発症者における「undiagnosed cancer predisposition syndrome」の割合を明らかにすることが本研究の目的である。 そのために、施設倫理審査委員会の承認のもと、当施設および研究協力施設から、「小児がん患者の治療後」に「二次がんを発症した患者」の正常細胞検体(末梢血、骨髄塗抹標本、腫瘍検体の残余分など)を29例収集し、DNAを抽出した。骨髄塗抹標本も含め、全例で十分な量と品質のDNAが抽出できたことを確認し、全エクソーム解析を行い、現在その結果の解析中であるが、TP53の変異によるLi-Fraumeni症候群などの患者であったことが判明した症例など、仮説通りにcancer predispositionが背景にあることが二次がんの発症に関与していることが示唆された。 さらに、この29症例のうち、一次がんや二次がんの腫瘍検体も収集可能であった6例については、腫瘍細胞からもDNAを抽出し、同様に全エクソーム解析を施行している。生殖細胞系列の変異に加え、二次がん発症に寄与している付加的な変異を探索することで、生殖細胞系列の変異の意義がより明らかになると考えている。引き続き、検体の収集を進め、小児がん患者の二次がんの発症における生殖細胞系列変異の意義について検討を行い、二次がんの発症リスクの推定につながる知見を得ることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの検体収集がなされ、ゲノム解析まで順調に遂行できたため。引き続き収集を続けるとともに、得られた結果の統合的な解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き二次がん発症者の検体を収集して、解析を進めるとともに、二次がん発症者にみられた生殖細胞系列の変異の頻度を、二次がんを発症していない対照群と比較することで、二次がん発症者にいかに「undiagnosed cancer predisposition syndrome」が濃縮されているかを統計的に検定する。
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Causes of Carryover |
全エクソーム解析にかかる消耗品試薬をまとめて購入することで価格を抑えることができ、かつ効率的に使用することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加で収集された検体の全エクソーム解析の消耗品試薬に用いる。
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