2016 Fiscal Year Research-status Report
クラススイッチ導入モノクローナル抗体を用いた水疱性類天疱瘡の病態機序の解明
Project/Area Number |
16K15539
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西江 渉 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (20443955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏賀 健 北海道大学, 大学病院, 講師 (70645457)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚病態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水疱性類天疱瘡(BP)自己抗体が標的とする皮膚表皮真皮境界部の17型コラーゲン(COL17)に対する“病原性を持たない”モノクローナル抗体のFc領域を改変し、改変後の病原性の変化を評価する。平成28年度は、研究者が以前に確立した、非病原性であるIgG1クラス抗COL17抗体産生ハイブリドーマ2種類を、変異誘導物質であるICR191を用いクラススイッチの誘導を試みた。過去の報告に従い薬剤投与24時間後に約50%の細胞が死亡する濃度で治療後、限界希釈にてそれぞれ数百コロニーをスクリーニングしたが、IgG2aやIgAへクラススイッチした細胞は得られなかった。クラススイッチ誘導できなかった理由として、薬剤投与ではクラススイッチを生じる頻度が極めて低いためと考えられた。そこで薬剤投与ではなく、最近、高い効率でIgMからIgG1等へクラススイッチ可能と報告されているCRISPR/Cas9システムを用いることとした(Nat Commun 7:10934, 2016)。最初に、SJL/JマウスをマウスCOL17で免疫することで抗マウスCOL17 IgMクラスモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを2種類作成し、本抗体をマウスへ投与し病原性を持たないことを確認した。次にIgG1やIgG2c、IgE、IgAへ誘導可能なgRNA発現ベクターを作成した。また、レンチウイルスを用いCas9遺伝子を導入することで、Cas9タンパクを恒常的に発現するハイブリドーマの作成を開始した。平成29年度は、Cas9発現ハイブリドーマへ各クラスへの誘導を目的としたgRNAを導入することで、クラススイッチさせたモノクローナル抗体を高頻度に得ることが可能と期待できる。これら各種抗体を用い、Fc領域が変化した際の病原性の変化を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、抗COL17 IgG1産生ハイブリドーマをICR191を用い、クラススイッチ誘導を試みたものの低効率のため他のサブクラスへスイッチした細胞を得ることは出来なかった。そこで、2016年に高い頻度でクラススイッチ誘導可能と報告されたCRISPR/Cas9を用いることとした。ハイブリドーマへのCas9導入や、クラススイッチ誘導可能なgRNAコンストラクト作成も進んでおり、非病原性IgMクラス抗マウスCOL17抗体産生ハイブリドーマを2種作成することに成功した。全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、非病原性のIgMクラス抗マウスCOL17抗体を産生する(Cas9発現)ハイブリドーマへ、IgG1、IgG2c、IgE、IgAへそれぞれクラススイッチ可能なgRNA発現ベクターを遺伝子導入し、それぞれクローニングを行う。各種モノクローナル抗体を精製後、新生仔あるいは大人の野生型マウスへ腹腔内あるいは皮下投与し、水疱形成の有無を臨床的および病理組織学的に評価する。その際、Fab領域のアミノ酸配列に変化を来していないかFab領域のDNA配列をシークエンスし確認を行う(オフターゲットの評価)。本実験から、抗COL17抗体のFc領域が水疱形成における機能について明らかになることが期待できる。
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Research Products
(2 results)