2016 Fiscal Year Research-status Report
色素細胞と表皮細胞間のメラニン輸送に関与する膜分子の網羅的探索
Project/Area Number |
16K15542
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 研志 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40294798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土山 健一郎 東北大学, 大学病院, 助教 (50711743)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 色素細胞 / 色素産生 / 膜輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
色素細胞の自然免疫機構によるメラノソーム・メラニン合成機構輸送の影響を確認する実験を計画した。まずは、細菌要素分子を主体とした自然免疫機構活性化因子(TLRs刺激因子)で、培養正常ヒト・メラノサイトを刺激し、メラニン産生関連遺伝子の発現、メラニン分泌能、角化細胞のメラニン取り込み能を検討した。培養正常ヒト・メラノサイトをTLRs刺激因子(TLR1-9リガンド)で刺激し、24・48時間後の培養液中へのメラニン/メラノソームの放出を測定(OD400-450 nmの計測)したところ、TLR3リガンドでメラノソームの放出が増加することが確認された。興味深いことに、TLR3リガンドの刺激はメラニン産生関連遺伝子を増加させずに、細胞外のメラニン放出を促進していた。また、表皮角化細胞との共培養下において、メラノソームを抗gp100抗体で、角化細胞の形状を抗ケラチン抗体で、細胞核をDAPIで染色することにより、メラノソームの移譲を免疫染色法で経時的に観察すると、TLR3リガンドは、角化細胞へのメラノソーム輸送を促進した。これらの結果は、TLR3リガンドはメラニン産生・合成能に直接働くのでは無く、メラノソーム・メラニン輸送経路を活性化させることに作用することを示唆した。また、この輸送経路の活性化には膜関連GTPaseであるRabの産生誘導や活性化が複数関連することが示唆されつつあり、現在、その詳細を検証中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLR3リガンドと膜関連GTPaseであるRabのメラノソームの放出への関連や角化細胞へのメラノソーム輸送・移譲に関連することが再現性をもって検証することが出来たことは大きな進歩である。今後、膜形態の変化や膜状での分子移動を検証することにより、メラノソームや胞体形成の分子機構を検証出来る基盤が出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
小胞体輸送の経時的変化の可視化 小胞体輸送には複数の低分子量GTPaseとともにマイクロフィブリルやアクチン中間径フィラメントなどの細胞構造体が関与し、経時的に変化している。さらに、胞体移送はゴルジ小体から細胞膜辺縁への一方通行だけではなく、細胞辺縁から中心部への双方向移送や細胞膜から細胞質への取り込み(エンドサイトーシス)に依存する。これらの経時的変化を可視化させるために細胞内動態を確認する必要があり、遺伝子改変細胞による分子動態観察を計画している。ヒト正常色素細胞への遺伝子導入は安定しておらず、培養条件を含めた遺伝子導入システムの検証が必要である。
|