2016 Fiscal Year Research-status Report
全身性強皮症に対する表皮細胞を標的とした核酸医薬外用薬の開発
Project/Area Number |
16K15544
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 善英 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60313029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / 表皮細胞 / Fli1 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、表皮細胞特異的Fli1欠失マウス(Fli1 flox/flox; K14-Cre, Fli1 KcKOマウス)の病態解析を行った。まず、Fli1 KcKOマウスと対照マウス(Fli1 flox/flox)から表皮細胞を単離し、DNA microarray解析を行ったところ、Fli1 KcKOマウス由来の表皮細胞では線維芽細胞を活性化する因子であるIL-1alphaとCTGFの発現が亢進していることが明らかとなった。次に、Fli1 KcKOマウスにおいて強皮症の主要3病態を評価したところ、皮膚と食道の線維化、および間質性肺疾患が自然発症することが明らかとなった。Fli1 KcKOマウスの肺の病理組織像がAire欠失マウスに生じる間質性肺疾患の病理組織像と酷似していることから、Fli1 KcKOマウスにおいて胸腺の異常が生じている可能性を見出し、さらに検討を進めたところ、K14を発現している胸腺髄質細胞においてFli1の発現が低下すると同細胞においてAire遺伝子の発現が低下し、免疫寛容が破綻することが明らかとなった。Rag1-/-マウスを用いてT細胞の養子移入実験を行ったところ、Fli1 KcKOマウスでは肺に対する自己反応性T細胞が存在することが明らかとなった。さらにRag1遺伝子を欠失したFli1 KcKOマウスを作製したところ、間質性肺疾患は見られなくなったが、皮膚と食道の線維化は発症した。以上から、表皮細胞においてFli1を欠失させると、表皮細胞由来の因子により皮膚と食道の線維化が生じ、免疫寛容の破綻により間質性肺疾患が生じることが明らかとなった。以上の検討結果は、表皮細胞を標的とした治療が強皮症の皮膚と食道の線維化に対して有効である可能性を示唆している。今後、表皮細胞の形質変化についてさらに解析を進め、治療標的となる分子の同定を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、表皮細胞におけるFli1遺伝子の欠失が皮膚硬化に及ぼす影響について検討する予定であったが、概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、マウスの実験で得られた研究結果がヒトの強皮症において見られるか否かについて、皮膚生検組織を用いて検討する。次に、表皮細胞を標的としたsiRNA外用薬の効果について解析を進める。
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[Journal Article] Epithelial Fli1 deficiency drives systemic autoimmunity and fibrosis: possible roles in scleroderma2017
Author(s)
Takehiro Takahashi, Yoshihide Asano, Koji Sugawara, Kouki Nakamura, Takashi Yamashita, Ryosuke Saigusa, Yohei Ichimura, Tetsuo Toyama, Takashi Taniguchi, Kaname Akamata, Shinji Noda, Ayumi Yoshizaki, Daisuke Tsuruta, Maria Trojanowska, Shinichi Sato.
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Journal Title
Journal of Experimental Medicine
Volume: 214
Pages: 1129-1151
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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