2017 Fiscal Year Research-status Report
全身性強皮症に対する表皮細胞を標的とした核酸医薬外用薬の開発
Project/Area Number |
16K15544
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 善英 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60313029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / 表皮細胞 / IL-1 apha / アポトーシス / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに行った上皮細胞特異的Fli1欠失マウスを用いた解析により、表皮細胞依存性に皮膚線維化が生じることが明らかとなった。他の研究グループが行った先行研究において、強皮症病変部皮膚の表皮細胞ではIL-1 alphaの発現が亢進しており、その異常が強皮症皮膚線維芽細胞の活性化に関与している可能性が示唆されている。そこで、今年度はIL-1 alphaが表皮細胞から放出される過程に注目して研究を行うこととした。 一部の強皮症患者はmechanical stressを受けやすい部位にmorphea様皮疹を生じるが、この皮疹を生じる強皮症患者では表皮細胞におけるIL-1 alphaの発現量が亢進していることが明らかとなった。また、このような皮疹を生じる強皮症患者の表皮細胞では、TUNEL染色陽性細胞の数が増えており、アポトーシスが異常に活性化していることが明らかとなった。表皮細胞はアポトーシスに陥るとIL-1 alphaを大量に放出することが知られているが、今回の検討結果は、強皮症の表皮細胞はIL-1 alphaを大量に発現するのみでなく、放出しやすいメカニズムをも獲得していることを示唆している。 以上の研究結果は、IL-1 alphaが強皮症の表皮細胞を標的とした治療戦略を開発する上で、良き標的分子となりうることを示唆している。IL-1 alphaの働きを皮膚において抑制する方法として、現在IL-1 receptor antagonistをヒアルロン酸マイクロニードルで投与する方法を候補として考えている。その前提として、強皮症患者の病変部皮膚においてIL-1 receptor antagonistの発現量がどのように変化しているのかを検討する予定である。発現低下がみられた場合、実際にこの方法の可否について研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮細胞を標的とした新規治療開発を行う上で、対象となる分子を決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒアルロン酸で作成したマイクロニードルにIL-1 receptor antagonistを包含させ、表皮細胞特異的Fli1欠失マウスに貼付する。この方法により実際にマウスの皮膚硬化が改善するか否かについて検討を行う予定である。
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[Journal Article] Systemic sclerosis complicated with localized scleroderma-like lesions induced by Koebner phenomenon.2018
Author(s)
Saigusa R, Asano Y, Yamashita T, Takahashi T, Nakamura K, Miura S, Ichimura Y, Toyama T, Taniguchi T, Sumida H, Tamaki Z, Miyazaki M, Yoshizaki A, Sato S.
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Journal Title
J Dermatol Sci.
Volume: 89
Pages: 282-289
DOI
Peer Reviewed