2016 Fiscal Year Research-status Report
New atopy gene X identified by multiple transcriptome studies
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16K15548
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大日 輝記 京都大学, 医学研究科, 講師 (20423543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、新規アトピー関連遺伝子Xの発現誘導の特異性および動態の評価を生体内および試験管内で行った。本遺伝子を見出した4種類のアトピー性皮膚炎モデル動物以外の1つのアトピー性皮膚炎モデル動物、3つの乾癬モデル動物、1つのアレルギー性接触皮膚炎モデル動物、1つの刺激性皮膚炎モデル動物のいずれもにおいて、病変部での著しい発現が観察された。ヒトの病変部の生検皮膚検体を用いた免疫組織化学で、遺伝子Xの翻訳産物の発現が、アトピー性皮膚炎の表皮で強くみられただけではなく、乾癬の表皮でも同様に強く誘導されていた。 第二に、マウス初代培養表皮細胞に既知のさまざまな物理的、薬理的刺激を加え、遺伝子Xの生体での強力な発現誘導の再現を試みた。しかしながら、2つの条件を除き、遺伝子Xの発現はほとんど誘導されなかった。 第三に、遺伝子Xを表皮細胞株である HaCaT およびヒト培養表皮細胞に遺伝子導入し、各種遺伝子発現への影響を評価した。HaCaT では大きな影響がみられなかった。ヒト培養表皮細胞では、対照に比較して、炎症性メディエーターの遺伝子発現誘導が観察された。 以上より本遺伝子は、皮膚炎において幅広く表皮で発現が誘導されること、炎症の上位を司る制御因子である可能性があること、炎症性皮膚疾患の臨床的バイオマーカーとなる可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象となる遺伝子発現について、生体検体を用いた検討で当初予想していたより広範囲の条件により発現が誘導されること、また、培養細胞を用いた検討では想定した複数の刺激のいずれもに置いて十分な発現誘導が観察されないことから、より網羅的な解析が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、遺伝子Xはアトピー性皮膚炎を越えて炎症性皮膚疾患における表皮由来の新たな幅広い制御因子であるとともに、臨床的マーカーとしての可能性が示された。これらの成果を受け、以下の研究を推進する。 第一に、遺伝子Xを導入した初代培養表皮細胞の発現遺伝子を RNA-Seq により網羅的に解析し、遺伝子Xの下流の応答遺伝子を明らかにする。さらに、ネットワーク解析により、遺伝子Xの機能発現を支配する転写因子を in silico で明らかにする。 第二に、遺伝子Xの転写産物の受容体を同定するとともに、誘導型ノックインマウスの作出により、生体における遺伝子Xの転写産物による皮膚炎の能動的制御を直接証明する。 第三に、臨床的マーカーとしての可能性を評価するため、ELSA を設計し、様々な炎症性皮膚疾患および、対象としての腫瘍性皮膚疾患ならびに炎症性他臓器疾患の血清中の遺伝子Xの転写産物の定量的評価を行う。
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Causes of Carryover |
研究対象となる遺伝子発現について、生体検体を用いた検討で当初予想していたより広範囲の条件により発現が誘導されること、また、培養細胞を用いた検討では想定した複数の刺激のいずれもに置いて十分な発現誘導が観察されないことから、より網羅的な解析が必要となった。以上より研究の進ちょくがやや遅れたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先述の今後の研究の推進方策に従って使用する。
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