2016 Fiscal Year Research-status Report
神経発達障害のシナプス病態解明 -シグナル伝達経路異常の網羅的・定量的解析-
Project/Area Number |
16K15554
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経発達障害 / リン酸化プロテオミクス / シナプス画分 / 機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
成長円錐のリン酸化プロテオミクスにより同定された神経発達に重要なタンパクリン酸化部位のうち、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder; ASD)および統合失調症のリスク遺伝子であるGAP-43遺伝子、NLGN3遺伝子および我々が統合失調症多発家系の全エクソン解析から同定したUNC13B遺伝子 (Egawa et al., 2016) とFBXO18遺伝子 (Hoya et al., 2017)を選定して機能解析を進めている。GAP-43機能に最も重要と予測されるリン酸化部位であるSer41部位の変異(Ser41Ala)のヘテロノックインマウスを作成、それらのマウスを交配させホモノックインマウスを確立した。このマウスのシナプス画分のリン酸化プロテオームや行動解析バッテリーなどを用いて包括的な解析を行う予定である。ヒトASD患者においてGAP-43遺伝子にAsp23Gly変異が同定されたが、この変異はin silico解析により遺伝子機能に強い影響を与えていると予測されたため、この変異のプラスミドベクターを作成した。この変異を株化細胞および初代神経細胞に導入し、機能解析を行い重大な機能的変化を同定した場合、同変異のノックインマウスの作成を開始する。NLGN3遺伝子のリン酸化部位(Ser722)については同部位のリン酸化抗体の作成が完了しており、まずは同部位のリン酸化が多く発現するステージや分布について解析する。UNC13B遺伝子やFBXO13遺伝子に関してもGAP-43遺伝子のAsp23Glyと同様の方法で解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経発達障害のリスク遺伝子データベース、神経細胞成長円錐のリン酸化プロテオミクスデータに加えて我々の疾患多発家系から同定されたリスク遺伝子から機能解析の対象変異を絞り込むことができた。次年度は選定された遺伝子変異の機能解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたように、予定通り選定されたリスク変異の機能解析をシナプス画分のリン酸化プロテオミクスを中心に行っていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度の遺伝子解析および遺伝子変異機能解析については他の研究費予算も使用可能であったため、当初の予定よりも余分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は遺伝子変異の機能解析を中心に行うが、解析する遺伝子変異の数を増やすことを検討している。
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Research Products
(8 results)