2016 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患由来幹細胞からの中脳皮質辺縁系ドーパミン神経(A10)の解析
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16K15561
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
曽良 一郎 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40322713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 健太朗 神戸大学, 医学研究科, 助教 (00642125)
菱本 明豊 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50529526)
朴 秀賢 神戸大学, 医学研究科, 講師 (60455665)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては最終的にはiPS細胞を用いた解析を行う予定であるが、ヒトiPS細胞の増殖は遅く、得られる細胞数はある程度限定的である。そのため、中脳皮質辺縁系ドーパミン神経細胞への分化誘導の条件の予備検討をまずマウスES細胞で行い、その上でヒトiPS細胞を用いた検討を行う方針に変更した。 マウスES細胞をセルバンクより入手し、iPS細胞とは異なる試薬を用いた培養系において継代培養を確認した。分化誘導を抑制する因子であるLIFを自己分泌する組換えSNLフィーダー細胞を用いたマウスES細胞はヒトiPS細胞と比較して増殖速度が速いことから、継代培養等の条件を変更する必要であった。 黒質線条体系ドーパミン神経細胞(A9)及び中脳皮質辺縁系ドーパミン神経(A10)の分化・誘導に関わる因子の検討の比較対象としてES細胞からドーパミン神経細胞を高効率に作成することができるSDIA(Stromal cell Derived Inducing Activity)法を用い、マウス由来のフィーダー細胞であるPA6細胞とiPS細胞の共培養によるドーパミン神経細胞の作成を行った。 また健常者およびADHD患者由来の複数のiPS細胞を作成し、解析に必要な経代培養を行っている。従来の方法であれば採血後すぐにiPS細胞の作成を開始する必要があったが、それでは患者と研究者のスケジュールの調整が困難であることが少なくなく、症例を増やす上で大きな障害となっていた。しかし、近年、凍結保存した単核球からiPS細胞を高い効率で作成することが可能になったため、症例を順調に増やすべく、凍結保存した単核球からiPS細胞を作成する新たな手法を導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していたヒトiPS細胞は分化誘導実験に用いるには培養実験における種々の条件の制約が大きいことから、より扱いやすいマウスES細胞を用いてドーパミン神経への分化誘導実験にて検討を行う方針に変更したが、マウスES細胞を用いた実験は順調に進んでおり全体的には概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスES細胞から作成したドーパミン神経細胞の性質のキャラクタライズ(中脳皮質辺縁系ドーパミン神経細胞と黒質線条体ドーパミン神経細胞)を行い、その上で、GSK3β阻害薬やLmx1aなど各種転写因子のsiRNAによるノックダウンなどの手法を用いて、中脳皮質辺縁系ドーパミン神経細胞の効率的な作成法を開発する。
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Causes of Carryover |
研究計画で予定していたヒトiPS細胞は分化誘導実験に用いるには培養実験における種々の条件の制約が大きいことから、より扱いやすいマウスES細胞を用いてドーパミン神経への分化誘導実験にて検討を行う方針に変更したため、次年度使用額が変わった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より扱いやすいマウスES細胞を用いてドーパミン神経への分化誘導実験を実施し、最終的にはiPS細胞を用いた解析を行う計画である。
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