2016 Fiscal Year Research-status Report
脳内RAGEイメージングプローブの開発:アミロイドPET偽陽性克服への挑戦
Project/Area Number |
16K15583
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上田 真史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (40381967)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子イメージング / アルツハイマー病 / RAGE / ニコチン性アセチルコリン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳内に発現する最終糖化産物受容体(RAGE)を標的とした放射性分子プローブを開発する。アルツハイマー病で蓄積する老人斑の構成成分であるアミロイドβタンパク質(Aβ)がRAGEに結合すると炎症が惹起され、神経細胞死が起こることから、RAGEはアルツハイマー病における認知症状発症に密接に関連していると考えられる。このため、RAGEイメージングプローブはAβの量ではなく、いわば質(毒性を発現するかどうか)を評価できる可能性があり、アミロイドPETの偽陽性問題を克服し、特異性の高い早期診断法の確立に資すると期待できる。また研究代表者はこれまでに脳内α4β2ニコチン受容体密度の低下が認知機能の低下と関連することを見出しており、RAGEがニコチン受容体に及ぼす影響に関しても併せて検討する。 本年度の検討として、放射性ヨウ素標識RAGEイメージングプローブを複数種類設計し、合成に着手した。またアルツハイマー病モデルマウスであるTg2576マウス脳内でのRAGE発現量をmRNAレベルで評価したところ、同月齢の野生型マウスに比べて増加傾向を認めた。さらにアルツハイマー病モデルマウスであるAPP/PS2マウスを用いて、α7ニコチン受容体のmRNAおよびタンパク発現量と認知機能との相関を調べたところ、その発現は野生型マウスと比べて増加しており、認知機能が低下した月齢でも発現の変化を認めなかった。 次年度は、引き続きプローブ合成を継続してインビトロ・インビボ評価を行うとともに、RAGEがα4β2ニコチン受容体に及ぼす影響について検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究実施計画として、①脳内RAGEを標的とした放射性分子プローブの開発、および②RAGEと脳内ニコチン受容体との相互作用解明、の2つを掲げていた。 ②については相互作用を調べるべきニコチン受容体サブタイプを見出すことが出来たが、①については放射性分子プローブの合成・評価が完了しなかったため、計画よりはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者の学部生・大学院生の数を増やすことで計画の遅れを挽回し、予定通りの研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
放射性プローブの合成が完了しなかったため、その評価実験に必要な消耗品などを購入するための研究費が余剰(次年度使用)となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
放射性プローブの評価実験を今年度実施する際に必要な消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)