2016 Fiscal Year Research-status Report
循環乳癌細胞を用いたDNA修復能測定系の樹立:PARP阻害剤適応決定へのカギ
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16K15594
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
光武 範吏 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (50404215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 由華 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (00533902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳癌 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性乳癌の原因遺伝子としてはBRCA1/2がよく知られており、これらの遺伝子機能の欠損で、DNA相同組み換え修復に障害が生じ、乳癌を発症することが分かっている。また、この相同組み換え能が欠損した症例には、PARP剤が効果を示すことが示唆されている。本研究では、乳癌細胞におけるDNA修復能、特に相同組み換え能を直接測定できる実験系の開発を行うことを目的としている。これまでのところ、培養細胞に電離放射線を照射し、DNA相同組み換え能の評価に細胞周期G2期におけるRad51のフォーカス形成を指標とする免疫蛍光染色法を用いた実験系をおおむね確立できた。 次に、血中循環癌細胞の採取・培養に関して、予備実験としていくつかの方法を試みたものの、かなりの数の癌細胞が存在する場合のみ、分離後の細胞培養まで成功している。今後、さらなる改良が必要と考えられた。 また、乳癌組織からの初代培養方法の開発を行った。様々な培地の組み合わせや培養方法を検討し、組織中の線維芽細胞を増殖させにくい方法で乳癌細胞を選択的に増殖させる手法をほぼ確立できた。また同時に、コントロールとして用いる線維芽細胞も別に増殖させ、順次保存していくこととした。このように、初代培養に関してはおおむね順調に進んでおり、順次細胞を増殖させ、解析に用いることが出来るようになった。これらの方法を用い、これまでに9例の家族性が疑われる比較的年齢の若い症例より組織を提供して頂き、細胞を分離・培養・保存している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
循環癌細胞の分取・培養法の確立に関してはおくれているものの、その他、初代培養、DNA修復能解析方法の確立はかなりの進展が見られた。よって、全体的には概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA相同組み換え修復能については、セルイメージャー等を使った客観的定量方法の開発を目指す。循環癌細胞の採取・培養に関しては、他施設でも難渋しているようで、良い手法が未だ開発されていないようである。生細胞の採取が難しい場合、cell-free DNA等の採取で研究が代用できないか検討していくことも選択肢として考える必要がある。実際の症例の収集については、予想より症例数が集まっておらず、他施設にも協力を求めていく。 臨床検体からの細胞を用いたDNA修復能測定を開始し、培養細胞、血中の細胞もしくはDNAより遺伝子変異を検出していく。
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Causes of Carryover |
循環癌細胞の採取手法の開発に遅れがあったことと、臨床検体収集数が少なかったことによる(収集のための旅費も少なかった)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はcell-free DNAの抽出も新たに計画し、検体収集も他施設にも協力を求めていく。これに加え、当初の計画通り遺伝子解析、薬剤感受性試験、相補性試験の系も順次構築していく。
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Research Products
(1 results)