2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of platform for cancer epigenetic therapy by region-specific inhibition of epigenomic alteration
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16K15608
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAメチル化やヒストン修飾等のエピゲノム情報は発生分化や細胞リプログラム等、細胞の運命を決定する鍵となり、その異常は癌を始めとする様々な疾患の原因となる。それゆえエピゲノム修飾を標的とした機能性分子による治療法の開発が求められているが、従来の機能性分子単剤では作用領域がゲノム全体に及ぶため、阻害効果が過多となる弊害がある。本研究では、この問題点を解決する手段としてDNA配列認識能を有するピロール-イミダゾール(PI)ポリアミドを融合させ、機能性分子の作用領域を局所化させる技術開発を行う。 ヒストン脱メチル化酵素(HDM)に対する阻害剤として、H3K4に対する脱メチル化を阻害しヒストン活性化マークを保つ化合物を用いた。PIPとの縮合反応ができるよう、カルボキシル基を導入した誘導体を作成した。そしてH28年度は4塩基対認識型PIポリアミドに2分子のベータアラニンをはさんで阻害薬誘導体分子を融合しプロトタイプを作成した。そのHDM阻害活性をヒストン脱メチル化酵素アッセイキットを用いてin vitroでの評価を行い、親分子の阻害活性と比較して融合分子の阻害活性能に大きな差が出ないことを確認した。 阻害活性能が保たれていたプロトタイプ融合分子を、次に癌細胞株に投与してin celluloのエピゲノム阻害効果を検証するためヒストン修飾に対するChIP-seq解析、および遺伝子発現に対するRNA-seq解析を行った。親分子であるLSD1阻害薬を投与した場合と比較して、融合分子を投与した場合では活性化されるゲノム領域および遺伝子は標的が異なった。活性化されたゲノム領域の配列に注目すると、融合分子に用いたPIポリアミドが特異的に認識し結合する配列が顕著に多く含まれていた。H29年度は予定通り融合分子のエピゲノム異常誘導モデルへの投与を行うとともに、融合分子の改良も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LSD1阻害薬に対して、PIポリアミドとの融合反応ができるようにいくつかの誘導体を作成したが、そのうちの1つ、カルボキシル基を導入した誘導体が条件を満たした。4塩基対認識型PIポリアミドに2分子のベータアラニンをはさんで融合したプロトタイプを作成し、ヒストン脱メチル化酵素アッセイキットを用いてin vitroでの阻害活性評価を行ったところ、カルボキシル基導入した誘導体そのものは活性を失っていたが、融合分子は親分子と同等の阻害活性を持っており、初年度に順調にプロトタイプの合成に成功した。 平成29年度には、ウイルス感染などによるエピゲノム異常誘導モデルにおいて融合分子を投与し細胞に対する阻害活性効果を解析する予定であり、そのエピゲノム異常誘導モデルにおける、ヒストンH3K4脱メチル化領域などエピゲノム変化の網羅的解析と阻害剤の標的候補領域の同定についてはH28年度に順調に進めた。エピゲノム異常誘導モデルでの融合分子投与の前に、H28年度中には当初予定していなかったが癌細胞株に対する投与を行った。これはエピゲノム異常誘導に対して予防的に防御するのではなく、すでに癌細胞株が獲得しているエピゲノム状態に対して改変可能かを解析する実験系である。ヒストン修飾に対するChIP-seq解析、遺伝子発現に対するRNA-seq解析の結果、融合分子は親分子とは異なるゲノム領域を標的として活性化していた。さらに、活性化したゲノム領域は用いたPIポリアミドが認識し結合するDNA配列が顕著に多く含まれており、PIポリアミドが阻害剤をそれらの領域に誘導していると考えられた。H29年度は予定していたエピゲノム異常誘導モデルへの投与と並び、融合分子の改変や、異なるPIポリアミドとの融合を行って誘導領域の比較解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)H29年度は、融合分子をエピゲノム異常誘導モデルで投与する。癌細胞において既に獲得済みのエピゲノム異常に対してもエピゲノム改変が可能なことをH28年度の解析が示唆したが、エピゲノム異常が誘導されるタイミングで誘導を阻害できるかをH29年度に予定通り解析する。ヒストン修飾に対してChIP-seq法、遺伝子発現に対してはRNA-seq法によりゲノム網羅的な解析を行う。積極的なエピゲノム改変よりも、さらに多くのゲノム領域において阻害効果が得られることを予想しているが、阻害効果が得られたゲノム領域の塩基配列について、PIポリアミドが標的とする塩基配列が有意に濃縮しているか検討する。 (2)当初の計画以上に進展し良好な結果を得つつある融合分子について、改変を行う。まず、融合するPIポリアミドについて、異なるDNA塩基配列を標的とするPIポリアミドを合成しそれぞれ融合分子を作成して細胞に投与する。異なるPIポリアミドを用いた場合、それぞれのPIポリアミドが特異的に認識する塩基配列へ阻害剤が誘導されているか、比較解析を行う。次に融合する阻害剤について改変を行う。融合反応を行うための誘導体や、活性中心以外の構造について改変を行い、より高い阻害活性を持つ分子へと改良を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Epigenetic driver of tumorigenesis in gastrointestinal cancer2017
Author(s)
Atsushi Kaneda, Keisuke Matsusaka, Eiji Sakai, Kenichi Shinohara, Natsumi Yoda, Hiroki Nagase, Tetsuhiro Nemoto, Kokiladevi Alagarswamy, Takayoshi Suzuki, Masaki Fukuyo, Atsushi Okabe, Kiyoko Takane, Sayaka Funata, Hiroe Namba
Organizer
International symposium for the drug-discovery of the pyrrole-imidazole polyamides as novel biomedicines
Place of Presentation
日本大学桜門会館(東京都・東京)
Year and Date
2017-02-24
Int'l Joint Research / Invited
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