2016 Fiscal Year Research-status Report
可視化癌幹細胞における特異的キナーゼ解析と臨床病理学的検証
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16K15609
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水野 裕貴 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 医員 (60771376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30253420)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 膵癌 / 膵神経内分泌腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、プロテアソーム活性の制御因子として、Mpk1/ERK5の重要性が明らかとなった(Nature 536, 184–189)。膵癌におけるMpk1/ERK5の幹細胞性への影響を調べるために、ERK5阻害薬であるXMD8-92をCSClowに付加したところ、濃度依存性にZsGreen陽性率が上昇した。膵癌の幹細胞性維持にもMpk1/ERK5が重要な機能を担っている可能性が示され、今後さらに解析を進める予定である。 また、膵原発の悪性腫瘍として近年膵神内分泌腫瘍(PanNETs)が近年注目されてきている。希少疾患であるPanNETsだが、当院はPanNETsの専門施設として多くの症例が集まっており、豊富な臨床データ、標本をもとに研究が可能である。近年、PanNETsにおける遺伝子Xの重要性を示唆する報告を受け、当院でのPanNETs症例44例について遺伝子Xの免疫組織染色を行ったところ、12例(27.3%)に発現低下を認め、これらの症例で悪性度と相関するKi67が高かった。そこで、PanNETs細胞株に対しCrispr/cas9を用いて遺伝子XのKnock down株を作成したところ、Sohere形成や腫瘍増殖の上昇が認められ、遺伝子Xが癌幹細胞性に関与していることが示唆された。また、この細胞株を用いたmicroarray解析で複数の遺伝子のRNAレベルが変化を認めた。遺伝子Xはヒストンシャペロンとして機能していることで知られており、遺伝子Xのリクルート状況やヒストン修飾状況について、Chip解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで行ってきた可視化システムを用いた膵癌幹細胞についての研究に加え、新たに膵神経内分泌腫瘍の幹細胞性についての研究も開始し、順調に結果が得られている。膵癌幹細胞に関する実験については、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
PanNETsに遺伝子Xのリクルート状況やヒストン修飾状況について、Chip解析を進めている。
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Causes of Carryover |
膵癌幹細胞についてついての実験に加えて、PanNETsの癌幹細胞性に関する研究を進めた。膵癌幹細胞についての使用部分で未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由により、未使用額の一部はPanNETs癌幹細胞についてのヒストン修飾機能的解析に充てることを予定している。また、この研究結果を論文および学会発表するための経費としての使用を考えている。
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