2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K15614
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10528508)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再発大腸癌 / 癌幹細胞仮説 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
現状の治療法では癌の再発を完全に制御することは困難であり、新しいコンセプトの治療薬の開発が喫緊の課題である。本研究は癌幹細胞仮説に則った新しいコンセプトを基とする治療法を開発する。我々が発見した幹細胞特異的分子であるLgr5の全長型に対する抗体を応用することで、① 大腸がん幹細胞のさらなる濃縮とその性質の解明、② 抗がん剤をコンジュゲートした抗Lgr5モノクローナル抗体を作成し、in Votroでその治療効果を判定する、③ ヒト大腸がん由来Xenograftモデルを作成し、in Vivoにおける治療効果の判定と、メカニズム解析を行うことを目的とする。 当科で作成した抗ヒト全長型Lgr5抗体を用いて分取し、解析することで全長型LGR5の腸管上皮幹細胞ならびに癌組織における幹細胞性に関する重要なメカニズムを得る。さらに正常と癌との間で異なるメカニズムを解明し、より癌幹細胞に特異的な治療法が開発されることが期待される。次の段階として、抗体をモノクローナル化し、抗腫瘍効果の検討を行う。より効率的に癌腫の縮小効果を得るために、抗腫瘍薬をコンジュゲートし、動物実験にてその効果と安全性を確認する。臨床検体を用い、細胞分取を行うことで臨床検体における全長型Lgr5陽性細胞の特性を理解する。幹細胞性が証明されることが予測されるわけであるが、同時に抗体をモノクローナル化し、さらに細胞障害性を有するチューブリン重合阻害剤DM1をコンジュゲートすることにより殺細胞性のモノクローナル抗体を作成する。治療目的の抗体が得られた後に、同時に作成しておいたXeograftモデルを対象に治療実験をすることで、効果のメカニズム解析を行う。また、メカニズム解析の一端として抗全長型Lgr5抗体を用いた共免疫沈降を行い、共役する分子の特定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全長型Lgr5の機能解析は予定通り進んでいる。In silicoでの解析では全長型Lgr5とスプライスバリアント型Lgr5とで細胞外ドメインの構造と特性が全く異なることを示している。このことはリガンドとの結合能が異なることを意味しており、興味深い事実である。しかしながら、全長型モノクローナル抗体の作成に難渋しており、研究の推進がやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
全長型Lgr5の機能解析を推進する必要があると考え、培養細胞株由来のタンパクの網羅的解析の結果より、Lgr5に共役するアンカー分子である分子Xを特定している。当科において保有している臨床情報つきの検体の該当分子による免疫染色を行なった結果、分子Xの高発現群は無再発生存期間、全生存期間において有意に悪いという結果であった。今後は引き続きモノクローナル抗体の作成を継続すると同時に、分子Xの治療標的となる可能性につき解析を行ってゆく。
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Causes of Carryover |
研究試薬の相見積もりを取ることで、研究費の節約を行っており、次年度への予算へ回すことが可能となった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、細胞機能解析ならびに抗体作成等を行っていく予定である。
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