2016 Fiscal Year Research-status Report
新しい生体吸収性金属(マグネシウム合金)を用いた吸収性膵断端閉鎖クリップの開発
Project/Area Number |
16K15617
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
外山 博近 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10444598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅利 貞毅 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (20580682)
具 英成 神戸大学, 医学研究科, 名誉教授 (40195615)
後藤 直大 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40580684)
福本 巧 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (70379402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵切離 / 膵断端 / 生体吸収性金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では膵切離における膵液瘻の発生を防止する目的で,膵断端を閉鎖する吸収性医療用クリップの開発を目的としている. 本研究には大きく5つのプロセスが必要と考えられる.(1)新しい生体吸収性の金属素材の開発と選定(2)同金属を持ちいたクリップ試作(3)動物実験による,金属の生体内での安全性,吸収性の検討(4)膵断端閉鎖に最適化した閉鎖機構及び形状の検討(5)動物実験での膵断端閉鎖効果と安全性,耐久性の検討である. 本年度は,共同研究者らと金属の開発中であった,新規生体吸収性材料のマグネシウム合金を改良を進めた.素材の強度や可塑性などの基礎的な性質を検証し,同素材にて止血用の小クリップを試作した.イヌの胆嚢摘出を行い,試作したクリップを用いて,止血及び胆嚢管の閉鎖を行った.術中の操作性や止血能力,及び短期的な耐久性と安全性には大きな問題は認めなかった.その後,クリップをイヌの体内に残し,イヌを経時的に観察した.イヌは問題なく生存しており,安全性に大きな問題はないと思われた.また,経時的にCTスキャンにて体内を撮影し,安全性と耐久性及び生体内での吸収の過程を調べた.その結果,クリップは3-6ヶ月程度は生体内で安定して存在していた.クリップ周辺の臓器にも炎症や異常を認めず,安全性は問題ないものと思われた.また,6-12ヶ月程度で吸収が次第に進んでいき,最終的にCTスキャンにて確認できなくなるまで吸収されることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵断端の閉鎖のためには,現在までの実験で持ちいた止血用のクリップよりもさらに大きな形状のものが必要となる.また,閉鎖最適な力も調整せねばならない.幾つかの形状を検討しているが,金属の特性上,形成が難しく,やや難航している.
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Strategy for Future Research Activity |
金属の特性から,形成ができるかどうかは大きな問題である.効果的に断端を閉鎖する形状をいくつか選定した上で,技術的に加工できる形状を見出し,試作を重ねていく.また,加工した時の耐久性や安全性もさらに検討していく必要がある.その上で,動物実験モデルを作成し,生体内での効果,安全性を検討していく必要がある.
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Causes of Carryover |
本年度,膵断端閉鎖用のクリップを試作する予定であったが,金属の特性上,形成が難航しており,試作品が完成しておらず,支出しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
膵断端閉鎖用のクリップを試作する. 試作品を用いて,動物実験を行い,安全性や効果を検討する予定である.
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