2016 Fiscal Year Research-status Report
Sphere破壊能を指標とした難治性悪性腫瘍に対する薬剤スクリーニングの創成
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16K15619
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米満 吉和 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40315065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 結 九州大学, 薬学研究院, 助教 (00608507)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スクリーニング / 腹膜播種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開始時点までに構築を行ってきたシステムを用いて東大創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリ(Validatedライブラリ)を対象として行ったスクリーニングにより得られた、特にsphere形成時の腫瘍細胞に障害活性を発揮する化合物X1とX2について、in vitro並びにin vivoでの評価を進めた。 化合物X1について、標準治療剤であるパクリタキセルとの比較を行う為、大腸がん細胞株CT26を用いた腹膜播種モデルにおける生存期間延長効果、腹水貯留抑制効果を確認した。その結果、驚くべき事に、化合物X1は劇的に奏功し、投与量依存的に播種結節の縮小・貯留腹水の低減・著明な生存期間の延長(一部は長期生存、腫瘍特異的免疫の成立も確認:2nd charengeで生着率0%)を示した。 一方で、現在臨床で腹膜播種の治療目的で用いられることもあるパクリタキセルは播種結節、貯留腹水を僅かに減少させるに留まり、生存期間の延長は見られたものの長期生存個体はみられなかった。 化合物X1の作用機序として想定されるシグナル経路に関わる各因子の動態を免疫染色、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング等により確認したところ、特にsphereに対して傷害活性を強く発揮するメカニズムを説明する候補となる因子が確認された。さらに、化合物X1による上記抗腫瘍効果には免疫系の関与が強く示唆されることが明らかになった。特に腹水中および腫瘍結節中のMDSCの数を大幅に減少させることで、腫瘍周辺の免疫環境を劇的に変化させている可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに実験は進捗しており、計画に大きな変更を要する事象は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
機能未知の新規化合物ライブラリを用いたスクリーニングによる新規候補物質の探索を開始する。 東大創薬オープンイノベーションセンターのコアライブラリ、或いは製薬企業が保有するライブラリを対象とする予定。 またさらに、化合物X1とX2の作用機序を明らかにし、新たな創薬ターゲットの創出に繋げるためのシグナル解析を実施する。
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