2017 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患関連肺高血圧症の肺生検標本を用いた発症機序解明と新たな治療法の探求
Project/Area Number |
16K15627
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊輔 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20400244)
堀井 明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40249983)
遠藤 雅人 東北大学, 大学病院, 講師 (90282128)
齋木 由利子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80311223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 先天性心疾患 / 肺高血圧 / 肺血管病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧(PAH)の原因の一つとして先天性心疾患(CHD)に伴うものがあげられ、とりわけ小児においては肺高血圧症におけるCH Dの割合が多い。しかしそのメカニズムに関しては不明な点も多く、治療法も未だ定まっていない。本研究では、先天性心疾患患者の 肺生検標本を利用し、免疫組織化学的解析、分子生物学的解析を加え、未だ解明されていない病変進行の機序解析を行っていく予定である。 これらの背景のもと、先天性心疾患患者の肺生検組織サンプルを用い解析を行った。これまでに21トリソミー患者では肺血管病変が進行しやすいことが言われており、21トリソミーの有無で分けて検証をおこなったが形態組織学的には、21トリソミー患者と非21トリソミー患者で 閉塞性肺血管病変の進行度に差がないことが分かった。本結果を踏まえ、論文を作成し、「Is Trisomy 21 a Risk Factor for Rapid Progression of Pulmonary Arteriopathy? - Revisiting Histopathological Characteristics Using 282 Lung Biopsy Specimens.」Circ J. 2018 Mar 16. doi: 10.1253/circj.CJ-17-0754.として掲載された。 また、分子生物学的メカニズムの検証に向けて、レーザーマイクロダイセクション法を用いたRNA抽出を試みたが、ホルマリン固定された非常に小さなパラフィン切片から安定した十分量のRNA抽出は困難であった。現在、免疫組織化学染色による解析を検討している。加えて、現在臨床上肺高血圧治療に肺血管拡張剤が多用されているが、薬剤が肺動脈に与える組織形態学的な変化、分子生物学的な変化を検証して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先天性心疾患症例における肺動脈の組織形態学的な変化、また21トリソミーの有無による肺血管病変進行の差異などに関して明らかにできたが、肺血管病変が進行するその分子生物学的なメカニズムを明らかにすることができていない。レーザーマイクロダイセクションを用いたマイクロアレイは困難であり、現在免疫組織学的な手法を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織化学的手法を用いて肺動脈病変に生じている組織学的変化の検証を予定している。病変の有無、疾患別、21trisomyの有無別等群分けし、PPARγ、LXRαといった本研究で着目しているpathwayのタンパクを染色する予定である。加えて、近年IPAHなどで注目されている炎症性サイトカインとそれに伴うpathway、内皮間葉転換といったメカニズムが先天性心疾患における肺血管病変進行のメカニズムに関与しているかを確かめるためTGFβ/smad pathwayも合わせて検証しようと考えている。 また、肺血管拡張剤による肺動脈のremodelingへの影響に関して、内服薬の有無別に上記免疫組織染色を中心に比較検討することも予定している。 加えて本研究ではこのモノクロタリンラットモデル(内皮障害に伴う肺血管性肺高血圧モデル)、腹部大動脈-下大静脈シャントによる 高肺血流性肺高血圧ラットモデルも併用し、モデル間での肺高血圧進展に対するPPARγ経路の関与の差異と、それに対するPPARγアゴ ニストの有効性を検討する予定である。動物モデルの確立に時間を要しているが本年度に確立を目指し、肺組織を採取し、PPAR-γ、caspase3、MEK、ERKの遺伝子発現量 をQuantitative real time PCRを用い解析し、加えて同分子マーカーのタンパク発現をWestern blottingで解析する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は肺血管病変の組織評価を中心に行ったため、予定していた複数の動物実験を平成30年度に行うこととした。そのため次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、平成30年度の助成金と合わせて動物実験にかかる動物購入費、組織評価に用いる薬剤費として使用する計画である。
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