2017 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病治療薬メトホルミンと抗PD-1抗体を併用した新しい肺癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
16K15637
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 新一郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (00190827)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 助教 (40467733)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70379840)
宗 淳一 岡山大学, 大学病院, 講師 (90559890)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 肺癌 / メトホルミン / 抗PD-1抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、免疫チェックポイント分子に対する抑制抗体と2型糖尿病治療薬であるメトホルミンの併用による新しい肺癌治療の開発を目的とする。抗PD-1抗体は癌細胞の免疫逃避機構である免疫寛容状態を解除し、肺癌を含めた悪性腫瘍に対して抗腫瘍効果を示すことが報告されている。また、研究代表者らは、これまでの検討でメトホルミンには抗腫瘍免疫を担当しうるCD8+リンパ球の癌細胞に対する殺傷能力を向上させる作用がある事を掴んでいる。本研究では、肺癌において、抗PD-1抗体による免疫寛容状態の解除作用とメトホルミンによる腫瘍免疫担当細胞の機能増強作用に着目し、ヒト肺癌における両者の併用治療の確立を目指す。 前年度は癌患者における末梢血ならびに腫瘍組織中のリンパ球の機能評価を行い、末梢血単核球および腫瘍浸潤性T細胞を、メトホルミンの存在・非存在下で培養し、T細胞に非特異的な刺激を与えたところメトホルミン存在下ではサイトカイン産生能が増加したことを確認した。 平成29年度はさらに症例を集積し、癌患者における末梢血ならびに腫瘍組織中のリンパ球の機能評価を進めた。また、初代培養肺癌細胞に対する抗PD-1 抗体+メトホルミン処理T 細胞の抗腫瘍効果の検討を進めた。#1. 抗PD-1 抗体単独、#2. メトホルミン未処理末梢血CD8+T 細胞単独、#3. メトホルミン処理後末梢血CD8+T 細胞単独、#4. 抗PD-1 抗体+メトホルミン未処理末梢血CD8+T 細胞、#5. 抗PD-1 抗体+ メトホルミン処理後末梢血CD8+T 細胞、の治療群において癌細胞の増殖抑制を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌患者における末梢血ならびに腫瘍組織中のリンパ球の評価は、さらに症例を集積して解析が進んでいる。また、初代培養肺癌細胞に対する抗PD-1 抗体+メトホルミン処理T 細胞の抗腫瘍効果の検討も進んでおり、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗PD-1 抗体+メトホルミン処理T 細胞の抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーの探索・同定を進める。抗腫瘍効果を有し、かつ、メトホルミンによるサイトカイン産生能の向上を示すCD8+T 細胞において、メトホルミン曝露前後の発現解析を網羅的に行い、変化のある分子を同定する。また、抗PD-1 抗体の効果予測因子との報告があるPD-L1 分子の発現について免疫組織化学染色で解析する。
|
Causes of Carryover |
(理由)物品購入において一部当初の見込みよりも少額で購入出来たものがあったために余剰が生じたが、その余剰は他の物品を購入出来るのに充分な額ではなかったので、年度内の使用は不可能であった。 (使用計画)次年度に繰り越して物品購入に充当する。
|