2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel biologic showing downregulation of immune responses, suppression of bone destruction and retention in the target site.
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16K15654
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 雅 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60401072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫学 / 骨代謝 / シグナル伝達 / 生理活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチは最も頻度の高い自己免疫疾患の一つであり、滑膜組織の腫瘍様増殖と成熟破骨細胞の過剰形成によって、関節の破壊が進行する特徴がある。種々の生物学的製剤の開発によって治療成績は向上しているが、骨破壊抑制や寛解達成率に関しては未だ不十分な側面もある。生物学的製剤併用の必要性も指摘されているが、免疫応答を全身性に強く抑制した場合、感染症リスク増大や癌細胞に対する免疫監視低下など、深刻な副作用も懸念される。本研究では、自己反応性T細胞の活性化を抑制して関節における慢性炎症を抑制すると同時に、滑膜線維芽細胞やTh17細胞に高発現するRANKL細胞外ドメインに高親和性に結合し、成熟破骨細胞形成を直接阻害すると共に全身暴露の軽減も図った生物学的製剤の創製を目指している。初年度は、PD-L1及びCTLA4の細胞外ドメインと抗RANKL単鎖化抗体フラグメントを同一分子内に有する種々の融合タンパク質のデザインと発現ベクターの構築、及び取得した組換えタンパク質を用いた、標的分子への結合活性とマウスに投与した際の血中滞留性などの活性特性の評価を行った。その過程で、PD-1への結合親和性がPD-L1の細胞外ドメインより高い、PD-L2の細胞外ドメインも候補に加えることとした。また良好な血中滞留性を達成するためには、融合タンパク質内にIgGのFc領域を組み込むことが有用であることも明らかとなった。さらに、融合タンパク質を取得するためのホスト細胞の選択によっても、取得したタンパク質の血中滞留性に大きな影響が生じることも明らかとなった。これは、融合タンパク質に複数付加されるN型糖鎖に置いて、シアル酸含量などの違いがホスト細胞の違いによって生じるためと考えられた。最終的に、最適と考えられるホスト細胞で、それぞれの候補融合タンパク質に関して、恒常的に高発現する細胞株の取得を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、候補融合タンパク質の高発現株取得までをマイルストーンとしており、血中滞留性の良好な融合タンパク質を高発現する細胞株の取得に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に構築した高発現株を用い、薬理効果の評価に必要となる組み換えタンパク質の大量調製を行う。取得した組み換えタンパク質を用い、まずin vitroモデル系を用いて薬理作用の確認を行う。マウスより単離したナイーブT細胞を、同種異系の樹状細胞と共培養し、ナイーブT細胞の増殖活性を3Hチミジン取り込み活性で評価すると共に、IL-2, IFN-γ, TNFαなどのサイトカイン分泌をELISA手法で定量することで、各融合タンパク質の添加によってT細胞の活性化と増殖が抑制されるか否かを検証する。また、マウス骨髄由来マクロファージを、GST-RANKLで刺激して成熟破骨細胞形成を誘導する実験系を用い、各種融合タンパク質の添加によって、成熟破骨細胞の形成が抑制されるか否かを検証する。 次いでin vivo薬理効果の評価を行う。動物モデルはコラーゲン関節炎を誘導したマウスを用いる。ウシII型コラーゲンによる初回免疫の3週後に追加免疫によるブーストを行う。薬理効果の評価対象とする組み換えタンパク質は、ブーストと同時に投与を開始することとし、投与量および投与間隔は、前年度の薬物動態学的検討の結果を踏まえて設定する。経時的に四肢関節の関節炎指数および関節腫脹を追跡評価する。また、また、経時的に血液サンプリングを行い、TNFα, IFN-γ, IL-2, 6など炎症性サイトカインの血清中濃度をELISA手法で測定することで、炎症の活動性を反映する指標として用いる。さらに、骨破壊に対する影響の評価には、血清中TRAP5b値の経時的な変動をELISA手法で測定すると共に、単離した四肢の関節部位を中心にμCTを用いて解析し、骨微細構造の変化を測定する。さらに病理組織切片を作成し、パンヌス・軟骨障害に関してスコア化して評価を行う。また、骨形態計測を行って、骨吸収の変化に関して定量的な評価を行う。
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Causes of Carryover |
組換えタンパク質の保存安定性の観点から、大規模培養による組換えタンパク質の取得を、次年度の動物実験の直前に行う計画に変更したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に動物モデルを用いた薬効評価を行う際に用いる、大量の組み替え融合タンパク質の取得を実施する為に使用する計画である
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