2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15662
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池谷 真 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (20442923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 異所性骨化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 遺伝子改変マウスの作製 1-A. FOPモデルマウスの作製:FOP変異は経配偶子性突然変異であり、患者のすべての細胞は生まれながらにしてACVR1 R206H 遺伝子をヘテロに持っている。しかし、同様の変異を全身性に持つノックインマウスは周産期致死であることが2012年に示されたため、FOPモデルマウスとしては薬剤等による誘導型でACVR1R206Hを発現するマウスを作製することが適切と考えられた。本年度は、ドキシサイクリン誘導により全身性に導入遺伝子を発現するFOPモデルマウスを作製し、生殖細胞系列への伝達の確認、ライン化を行った。現在、ホモマウス化およびコロニー拡大を行っている。 1-B. 発生期の神経堤細胞を特異的に標識するCreマウスの作製:P0-Creマウスは神経堤細胞を標識するのに使用される最も実績のあるマウスである。しかし、P0-Creで標識される細胞は神経堤細胞を含んだ細胞集団であり、本申請研究の目的には発生期の神経堤細胞を特異的に標識することができるマウスが最も理想的である。遺伝子Xは胎生8日から10日の胚において神経堤細胞に特異的に発現する遺伝子である。そこでこの遺伝子の3’UTR領域にタモキシフェン誘導により核移行するCreERT2を自己切断配列(2A)で連結した形でノックインしたマウス(遺伝子X-CreERT2マウス)を共同研究先から入手し、ライン化、R26Rとの交配、およびコロニーの拡大を行った。 2. BMP誘導型異所性骨の神経堤細胞起源説の検証:1-Bにより作製されたCreラインの胎生9.5日目にタモキシフェンを母体に投与して神経堤細胞を標識し、異所性骨がLacZで標識されるかを検証する予定であったが、タモキシフェン投与により全ての母体が流産したため、現在投与量とタイミングの最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画のうち、遺伝子改変マウスの作製については計画通り交配を進めており、順調である。BMP誘導型異所性骨の神経堤細胞起源説の検証については、当初の計画では新たに作製したCreERTマウスを妊娠させ、胎児がE9.5になった段階でタモキシフェンを投与して神経堤細胞を標識する予定であった。しかし、全ての母体が流産したため、野生型の妊娠マウスにタモキシフェンを投与するのみのコントロール実験を実施したところ、その実験群においても全ての母体が流産した。このような理由から、目的の産仔を得ることができなかった。よって現在は実験計画を変更し、タモキシフェン投与量と投与時期の最適化、およびカウンターとなるプロジェステロンの投与を試みている。これで投与方法の最適化ができた場合には、次の実験としてBMP誘導型異所性骨の神経堤細胞起源説の検証を行う。 以上から、本申請研究は当初の予定通り、あるいは方針を変更して進行しており、全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度に未実施であったBMP誘導型異所性骨の神経堤細胞起源説の検証、さらには当初の予定通り、1. Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H_P0-Cre_R26Rマウスの作製と、2. Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H_遺伝子X-CreERT2_R26Rマウスの作製を行う。 1. Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H_P0-Cre_R26Rマウスの作製:Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206Hのホモマウス、およびP0-Cre_R26Rのホモマウスを交配し、Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H_P0-Cre_R26Rクアドロヘテロマウスを作製する。6~8週齢でドキシサイクリンの投与により全身性にACVR1R206Hを誘導し、そこにカルディオトキシン等による骨格筋破壊刺激を与えることにより異所性骨を誘導し、その異所性骨がLacZで標識されるかを検証する。 2. Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H_遺伝子X -CreERT2_R26Rマウスの作製: Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206Hのホモマウス、および遺伝子X -CreERT2_R26Rのホモマウスを交配し、Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H_遺伝子X -CreERT2_R26Rクアドロヘテロマウスを作製する。最適化した投与方法にて、胎生9.5日目にタモキシフェンを母体に投与して神経堤細胞を標識し、産後6~8週齢でドキシサイクリンの投与により全身性にACVR1R206Hを誘導し、そこにカルディオトキシン等による骨格筋破壊刺激を与えることにより異所性骨を誘導し、その異所性骨がLacZで標識されるかを検証する。
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