2017 Fiscal Year Research-status Report
黄色靭帯肥厚の分子生物学的メカニズムの解明と新規薬物治療法の開発
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16K15668
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 誠司 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30448435)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 黄色靭帯 / 線維化 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
腰部脊柱管狭窄症は頻度の高い疾患であるが、これまでその主要な病因である黄色靭帯の肥厚メカニズムに関しては殆ど明らかにされていない。従来の研究では、若年者椎間板ヘルニア患者から採取された『肥厚していない黄色靭帯』と、腰部脊柱管狭窄症患者から摘出された『肥厚した黄色靭帯』の組織学的な比較により、肥厚した黄色靭帯では①膠原線維の増加、②弾性繊維の断片化、③血管新生が認められることなどは明らかになっているが、どのような細胞が膠原繊維を産生するのか、肥厚した靭帯では細胞数に変化は認められるのかなどの基本的なことが解明されていなかった。そこで我々は、マウス腰椎ならびに黄色靭帯の解剖学的解析を行い、ほぼヒト黄色靭帯の特徴を有していることを明らかにした。さらに、マウス黄色靭帯に持続的メカニカルストレスを負荷することにより線維芽細胞の増殖と膠原線維の過剰沈着を確認した。この成果はメカニカルストレスが黄色靭帯肥厚の直接の誘因の一つであることを示した初めての結果である。しかし、メカニカルストレスのみでは中等度の肥厚が限界であり、組織的にヒト疾患で認められるマクロファージ浸潤、血管新生やTGFβなどの線維化関連因子の発現上昇が認められなかった。そこで、黄色靭帯に微小な損傷を加えマクロファージ浸潤を促した結果、血管新生とともに高度の肥厚が確認された。この結果は、ヒト疾患で認められるマクロファージ浸潤が黄色靭帯肥厚の結果ではなく原因の一つである可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカニカルストレスの蓄積ならびに、micro injuryによるマクロファージ浸潤によりマウス黄色靭帯が肥厚することを明らかにした。さらに、コラーゲンタイプ1αのプロモーター下に蛍光蛋白GFPを発現させたトランスジェニックマウスを用いた実験により、黄色靭帯はほぼ全て線維芽細胞から構成されることを明らかにした。また、肥厚黄色靭帯に於ける線維芽細胞をレーザーマイクロダイセクションを用いて選択的に採取することで、黄色靭帯組織へのマクロファージ浸潤が筋繊維芽細胞への形質転換へ重要であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
クロドロネート投与によりマクロファージを枯渇化させたマウスに微小損傷を作成した場合には、黄色靭帯の肥厚が生じないことから、メカニカルストレスの蓄積によるmicro injuryがマクロファージ浸潤を引き起こし、これが黄色靭帯の肥厚に重要であることを見出し報告した。今後は、コラーゲンの架橋と線維形成に必要であるリジルオキシダーゼLOXの阻害剤を投与することにより、メカニカルストレスや微小損傷による黄色靭帯肥厚を阻害可能かどうかを検討する。
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Research Products
(13 results)