2016 Fiscal Year Research-status Report
高度頭低位手術後の一過性視野狭窄を引き起こす周術期要因の研究
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16K15674
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠川 美希 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20772057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20292948)
相原 一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80222462)
伊藤 伸子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80332609)
岡上 泰子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50781209)
大畑 卓也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30781752)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 周術期管理学 / ロボット手術 / 視野異常 / 脳血液量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術時には、高度頭低位と気腹操作を要し、これらによる循環動態変化や眼圧変化に起因する合併症が最近いくつか報告されている。本研究では高度頭低位と気腹操作による脳血量変化を眼圧変化とともに計時的に計測し、また術前後の視野異常や網膜視神経線維層変化について評価を行い、関連を検討することで頭低位腹腔鏡手術の安全域について考察する。 さらにこれらに影響する患者背景因子(年齢・体格・動脈硬化病変等の既往歴)手術因子(気道内圧・手術時間・出血量・気腹圧)を検討し、双方の安全域を明らかにすることで、予期せぬ合併症を予防することを目的とする。 現在までに72症例について、視野異常変化と手術中のパラメーター(眼圧、近赤外線による脳血液量変化)の解析が終了している。手術中の眼圧変化は頭低位気腹操作の時間経過に伴い最大2倍程度上昇し、頭低位気腹操作解除後速やかに低下が認められた。視野異常変化については72例中12例で認められ、手術中の眼圧上昇度や症例背景因子(高血圧、糖尿病、喫煙歴、閉塞性障害、BMI)との関連は認められなかったが、年齢との有意な関連が認められた。 緑内障を含む眼疾患合併症例が11例あり、眼疾患なし症例との比較を行ったが、眼圧上昇及び脳血液量変化に差はなく、術前後の視野異常についても明確な差は認められず、緑内障合併症例における当院高度頭低位気腹操作を伴うロボット支援下前立腺摘除術の安全性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東大病院医学部倫理委員会の承認後、泌尿器科外来にて同意書が取得された90例のうち4例が手術ではなく放射線治療の方針、1例が同意書取得後脳梗塞となり、研究対象とはならなかった。同意書取得され、眼科的検査と手術が施行された対象症例は全て大きな合併症なく経過し、87例が既に退院されている。解析については、眼圧変化、脳血液量変化、手術前後の視野異常のデータ蓄積は順調に進行し、72例までの解析がほぼ終了した。手術中の血圧、脈拍数について電子チャート上より取り込み作業を進めているが、予想外にノイズが混入していることから、ノイズを除去する操作ののち、解析することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
一過性視野異常発症の割合が、先行研究とほぼ同様であったことから、対象症例については115例をめどにデータ蓄積を終了予定である。手術中の血圧、脈拍数について電子チャート上より取り込み作業を進めているが、予想外にノイズが混入していることから、コンピューター数値処理を担当する分担研究者を加えてノイズを除去する操作ののち、解析することとなった。 解析については、一過性視野異常ありなしについて及び、術前よりの緑内障既往ありなしについてのサブグループ解析を行い、関連因子について探索していく。高度頭低位気腹手術の安全性について考察を行い、研究結果を国際学会を含む学会で発表し、論文作成する。
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Causes of Carryover |
近赤外線による脳血液量解析装置が旧機種のため老朽化により故障し、光検出プローブの交換を3回要したが、中古品ながらデスポーザブルタイプ光検出プローブを用いる新機種を購入した。デスポーザブルタイプ光検出プローブについては、専用の貼付テープを用いることで数回再使用することができたことから、デスポーザブルタイプ光検出プローブ購入について削減できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ蓄積については終了のめどが立っており、データ保管メデイア購入、解析のためのソフトウエア購入及び論文作成の際の英文校正と投稿費用に使用していく。
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