2016 Fiscal Year Research-status Report
オピオイドの新規効能を応用したPTSD治療法の開発
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16K15679
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮崎 智之 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30580724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オピオイド / 恐怖学習 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床現場において、オピオイドは鎮痛薬としてのみ使用されているが、近年は鎮痛以外の神経機能を調節する作用が注目されている。その一つとして、オピオイドによるAMPA受容体機能の抑制機構が明らかになってきた。PTSDモデル動物ではAMPA受容体のリン酸化およびシナプス提示量増加が生じている。AMPA受容体リン酸化を阻害することで恐怖記憶が消去できるが、現行の手段では遺伝子操作を必要とする。本研究では、オピオイドを用いた薬理学的介入によりPTSD治療が可能かを検討する。①オピオイドによるAMPA受容体機能抑制のメカニズムを明らかにし、その結果を応用して、②PTSDモデル動物で有害な恐怖記憶の消去が起きるかを行動学的に検討し、オピオイドの新たな臨床応用可能性の探索を目的とする。 本年度は海馬AMPA受容体におけるオピオイドの効果を検討しており、オピオイドがAMPA受容体のリン酸化を妨げることを明らかにした。また恐怖条件付け後のラットにオピオイドを投与することで恐怖記憶が消失することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの実験系において、海馬AMPA受容体のリン酸化をオピオイドが阻害するという効果を証明できた。またその結果を応用して、恐怖学習後のラットにおいて、学習後にオピオイドを投与することで恐怖記憶を消去することができることも証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. PTSDモデル動物の急性脳切片を用いて、生化学的なAMPA受容体リン酸化レベルを指標に、レミフェンタニルの至適投与濃度、タイミングを検討する。また電気生理学的実験を併用し、本投薬設定の有効性に対する機能的裏付けを検討する。 2. in vivoでのレミフェンタニル投与により、PTSDモデル動物の恐怖記憶が消去できるかを行動学的に検討し、その際のAMPA受容体リン酸化レベルを生化学的に定量する。 3. 薬理学的手法を用いてAMPA受容体の脱リン酸化を阻害したPTSDモデル動物を用いて、オピオイドが恐怖記憶を消去できるかを行動学的に検討し、併せて電気生理学的検討も行う。
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Causes of Carryover |
実験の遂行には問題ないが、行動実験施設の改修に伴い実験匹数が減ってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
足りない分の匹数に関しては、平成29年度に実施し、研究機関として問題ないように研究を遂行する。
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