2016 Fiscal Year Research-status Report
土壌菌菌体成分であるミコール酸による抗腫瘍免疫製剤の開発
Project/Area Number |
16K15685
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん免疫 / 膀胱癌 / 脂質免疫 / BCG |
Outline of Annual Research Achievements |
Mycobacterium bovis BCGからミコール酸を3分画(α、Methoxy、Keto)に分けて抽出した。抽出したミコール酸をTOF/MS分析し、既知の報告にあるミコール酸であることを確認した。ミコール酸をリン脂質と混合し、親水性のリポソームを作成した。組成を工夫し、いずれのミコール酸を含むリポソームも粒子径200nm以下、Z電位陽性となるよう調整した。電子顕微鏡でもリポソーム粒子を確認した。 マウスおよびヒト膀胱癌細胞株への取り込み率を、蛍光コレステロールを混合したリポソームを作成し、フローサイトメトリーで評価した。30分のリポソームとの接触でほぼ100%の細胞に取り込まれており、良好であった。マウス、ヒト膀胱癌細胞株に対して直接細胞毒性がないことを確認した。 C57BL/6およびC3H/HeNマウスにそれぞれマウス膀胱癌細胞株MB49、MBT2を皮下接種し、ミコール酸リポソームの腫瘍抑制効果を確認した。投与スケジュールは、腫瘍との混合接種+追加接種3回にて抗腫瘍効果が得られた。抗腫瘍効果メカニズムの解明を目的とした追加のin vivo実験をおこなった。T細胞免疫の欠如したヌードマウスでは腫瘍抑制効果は認めなかったが、NK活性の低いbeigeマウスではミコール酸リポソームの腫瘍抑制を認めた。 壁成分としてミコール酸を持つActinomycetales に属する土壌菌細菌 Rhodococcus aurantiacusからのミコール酸抽出、BCGミコール酸同様の方法により粒子径200nm以下、Z電位陽性のリポソーム作成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミコール酸をBCG菌体から抽出し、細胞への取り込みが良好なリポソームを作成することができた。ミコール酸リポソームの皮下腫瘍モデルにおける抗腫瘍活性が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ミコール酸の抗腫瘍効果のメカニズム解明のため、皮下腫瘍モデルにおけるリポソームの局在(癌細胞、免疫細胞)、免疫細胞浸潤について検証する。脂質抗原の提示に重要なCD1分子の関与についても研究を進める。 皮下腫瘍モデルにおける投与スケジュールの検討の他、マウス肺転移や正所性(膀胱腫瘍)モデルでの抗腫瘍効果の評価を予定する。 Mycobacterium bovis BCG以外の土壌細菌のミコール酸を抽出し、同様の抗腫瘍効果があるのかどうか、検証する。
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