2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15689
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡部 昌実 岡山大学, 大学病院, 教授 (70444677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 医員 (20733322)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎臓 / 幹細胞 / 細胞移植 / 組織除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、国を挙げて再生医療研究が進められる中、泌尿器科領域においては腎臓再生、腎機能再生に大きな期待が寄せられている。ES(胚性幹)・iPS(人工多能性幹)細胞等の分化万能性幹細胞を用いた腎再生研究では、腎機能を担う腎小体・尿細管等の再生を目指した研究も散見される。しかしながら、再生医療の根本的課題ともいえる組織立体構造の構築および臓器ボリュームレベルでの組織再生といった課題が残されている。腎組織幹細胞(群)の樹立が為されれば、これらの幹細胞を組み合わせて使用することにより、ヘテロ組織としての腎臓の再生に一歩近づくことができると考えられる。本研究では、我々がこれまでの研究により樹立した腎組織幹細胞候補株を用いて、腎再生手法の基盤を確立することを目的としてきた。すなわち、これまでに誘導・分離した尿細管系および血管内皮系幹細胞候補株について、in vitroおよびin vivoでの機能的腎小体への分化能を検証することで、腎再生研究の基盤の確立を目指している。その中で、腎組織の立体構造の構築が困難なことを踏まえ、我々は特に、腎組織幹細胞の細胞移植の観点からの腎機能再生手法について研究を進めている。各種細胞を局所に注入する方法について、独自技術であるIn situ permeation法を用いて様々な溶媒についての組織内注入実験を実施しており、腎組織幹細胞を細胞移植し得るスペースを如何に確保するか、という点について一定の成果を挙げつつある。さらに、これまでに得られた知見に基づき、局所における組織除去・再構築の手法の可能性についても検証を行っている。現状、in vivoでの腎機能再生を目指す方向性での研究基盤の確立を目指しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに樹立した正常腎臓細胞由来の尿細管系および血管内皮系幹細胞を如何に生体内に移植するのかという観点に立ち、これらの細胞をin vivoで移植する為の細胞移植法の基盤技術の確立の為の研究を行った。生体内において、独自の局所注入技術を用いて各種溶媒を拡散、浸透させる手法についての予備研究を実施し、また、ハムスターを用いた実験系を確立した。研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、各種の腎組織幹細胞候補株について、これらの幹細胞のin vivoでの分化能の解析基盤を確立することを主課題としている。局所注入技術については、組織内への細胞移植の観点からの改良を加え、引き続き生体内に各種溶液、細胞を拡散、浸透させる手法についての基盤研究を実施する。その中で改めて、腎組織幹細胞候補株のスキャフォールドを用いたin vitro研究について有用性を判断する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究において、腎組織幹細胞の組織内への注入移植に関する研究を優先して遂行した。腎組織幹細胞としての尿細管系および血管内皮系幹細胞のそれぞれの候補株における各種分化誘導因子の解析について、予定と比べて未使用額が生じたものである。 今年度未使用額を平成30年度分にあてがい、引き続き研究目的の達成に向け執行する。それぞれの腎組織幹細胞において、in vitro増殖・維持後の胎生期分化誘導因子:Osr1, Sall1, Six1, Six2, WT1, Pax2, Eya1等の幹細胞マーカーについて発現動態を検証する計画である。
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