2016 Fiscal Year Research-status Report
高分子ナノミセルに搭載した転移抑制マイクロRNAを用いた核酸医薬への挑戦
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16K15691
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鑪野 秀一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30624655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (80347103)
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 膀胱癌 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
腎癌では「治療抵抗性腎癌マイクロRNA発現プロファイル」に基づき、腎癌組織で発現が抑制されているマイクロRNAについて機能解析を施行した。まずはmicroRNA-210-3pに着目して、ゲノム編集技術であるCRISPR-Cas9を用いたノックアウトを行った。そして、レンチウイルスによりCas9およびguideRNAを発現させるCRISPR / Cas9システムを用いて、腎癌細胞株でmiRNAのノックアウトを行った。guideRNAはWebデザインツールで選択し、また、オフターゲット効果の可能性を最小にするため、いずれのmiRNAに対してもguideRNAは2種類以上作成した。CRISPR / Cas9を導入したいずれの細胞株においても100%に近い発現抑制を得ることができた。microRNA-210-3は腎癌においては正常腎組織と比べて、その発現が上昇していたが、進行癌においては逆にその発現は低下しており、癌抑制的作用を有することが明らかになった。その標的電子の一つとして癌遺伝子的作用を有するTWIST1が挙げられ、カプランマイヤー解析では予後予測因子であることが判明した。 膀胱癌では次世代シークエンサーによるmiRNA発現解析を行い、933個の既知miRNAと17個の新規miRNAの発現を解析し得た。933個の既知miRNAのうち、膀胱癌で有意に発現が低下していた60個のmiRNAの中でリストの上位のものから解析を行ってきた。その結果、microRNA-199 familyの発現高値は膀胱癌患者の予後良好の予測因子であり、インテグリンシグナル伝達を制御して、癌抑制的に働くことが示唆された。このようにマイクロRNAを基点とした膀胱癌の新しい癌シグナル経路が明らかにし、次年度ではin-vivoにおいてナノミセルを用いた癌抑制マイクロRNAのマウス尾静脈投与実験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロRNA発現プロファイルに基づいて実験が進行中であり、結果を論文化できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに解析のスピードを速める。腎癌における分子標的薬の著効例や、膀胱癌におけるPD1抗体治療の著効例に対する次世代シーケンサーによる遺伝子・マイクロRNA発現解析も検討している。
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