2017 Fiscal Year Research-status Report
進行卵巣癌に対する新しい戦略的腫瘍溶解性ウイルス療法の開発
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16K15705
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那波 明宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (90242859)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス療法 / HSV-1 / R3616 / 卵巣癌 / 葉酸受容体 / シクロデキストリン |
Outline of Annual Research Achievements |
腹膜播種癌のような進行卵巣癌の5年生存率は長年に渡って30%程度で推移しており、従来の化学療法とは一線を画した治療戦略が求められている。近年、腫瘍組織特異的に増殖する腫瘍溶解性ウイルスを用いた治療法が注目を集めているが、卵巣癌に関する知見はまだ少ない。本研究では、腹膜播種卵巣癌同系マウスモデルを用いた腫瘍溶解性ウイルス療法による抗腫瘍効果の検討を行いつつ、従来の腫瘍溶解性ウイルスよりも高い抗腫瘍効果、並びに、卵巣癌選択性を持つような新規腫瘍溶解性ウイルスを検討していき、腫瘍溶解性ウイルスによる新たな卵巣癌治療法開発の為の基盤を構築する。 平成29年度は宿主免疫回避、卵巣癌特異的ウイルス粒子開発の為の検討を中心的に行った。卵巣癌細胞の標的分子として葉酸受容体(FOLR1)に着目し、卵巣癌細胞株でのFOLR1発現をRT-PCR並びにウェスタンブロットを用いて解析した。解析した12種の卵巣癌細胞株のうち、ID8-t6、NOS3、SKOV3、TOV-21Gの4種においてFOLR1発現が確認された。FOLR1のアミノ酸配列と高い相同性を示し、葉酸結合において拮抗しうるFOLRファミリータンパクであるFOLR2はこれらの細胞において発現が見られないことも確認した。細胞葉酸修飾したシクロデキストリン(ND201)とパクリタキセル(PTX)とを結合させたND201-PTX包接体は、FOLR1発現が確認された卵巣癌株のみに殺細胞効果を示した。FOLR1発現が確認されず、ND201-PTXに非感受性であった卵巣癌細胞株にFOLR1を強制発現させると、ND201-PTXに対して感受性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の実験担当者が離職し、新たな実験担当者を確保するのに時間がかかった。また、研究に使用する予定であったHF10株を入手することが出来なくなった為に、代替株の選定及び予備的検討をやり直すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
ND201-PTXについてin vivoにおける抗腫瘍効果の解析を行う。 HF10株は入手出来なかった為、従来型の腫瘍溶解性ウイルス株であるR3616株に遺伝子改変を加えた新規HSV-1ウイルス株を用いて解析を行う。
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Causes of Carryover |
前任の実験担当者が離職してから引き継ぎの実験担当者が入職するまでの間、実験を行うことが出来なかったために次年度使用額が生じてしまったので、実験に使用する消耗品の購入に充てる。
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