2016 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism of Fmr1-associated premature ovarian failure based on novel protein-protein interactions
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16K15709
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 一男 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (70255123)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Largen / 神経 / 卵巣 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はまず第一の目標として掲げたLargen、CYFIP1、FMRPの発現が神経と卵巣でどのようになっているかを確認することから着手した。手持ちのLargenトランスジェニックマウスとその野生型同腹仔の脳と卵巣を摘出して全RNAを抽出しcDNAに変換し、特異プライマーを用いた定量PCRを行い、Largen、CYFIP1、FMRPそれぞれのmRNA発現量を比較した。その結果、Largenの発現は、他の組織に比べて卵巣で有意に低いことが分かった。一方でCYFIP1とFMRPの発現には顕著な差は見られなかった。しかしながら同時に調べたCYFIP1のパラログであるCYFIP2の発現は増加していることが分かった。これらの事実は、Largen-CYFIP1/2-FMRPの相互作用による組織特異的な遺伝子発現の変調の可能性を指示する結果であるといえる。 同様に、両組織からタンパク質抽出液を調製し、ウエスタンブロットにより各分子の発現量をタンパク質レベルで比較することを試みた。しかしながら、Largenの抗体の検出感度が低く十分な結果が得られなかった。他の因子については抗体が働くことを確認している。 これと並行してin vitroの実験を確実に進めるために、細胞培養の準備を進めた。いくつかの細胞株について培養条件を検討し、現在のところ卵巣由来の細胞としてCHO細胞、神経系の細胞としてはN2a細胞などの広く使われていて培養実績のある細胞を採用して実験を進めることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各対象遺伝子のRNAレベルでの組織別発現の検証は滞りなく進んでいるが、タンパク質レベルの解析はLargenに対する抗体の性能が十分ではなかったために停滞している。また、平成28年度計画のもう1本の柱である培養細胞を用いたFmr1遺伝子カスケードの解析の進行がやや遅れている。これは、当初調達したマウス卵巣由来の細胞を安定に維持するプロトコールを樹立するのに時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
抗体の問題に対しては市販品の検討も含めて鋭意対応中である。細胞培養の問題については、安定的な培養実績のあるハムスター卵巣由来の細胞をとりあえずのモデルとして用いることでほぼ解決しつつあるので、可及的速やかに次の段階であるRNAの分析に移行する。in vitroでの実験を踏まえ動物を用いた解析に進み、創薬の可能性を探っていく。
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