2016 Fiscal Year Research-status Report
BRCA1欠失細胞におけるエストロゲンレセプターによる癌化メカニズムの解明
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16K15712
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (60233136)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | BRCA1 / ERα / Chk2 / 臓器特異性 / 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
I. Dox誘導性にBRCA1に対するshRNAとエストロゲンレセプターα(ER)が同時に発現するMCF10A細胞を用いて、BRCA1機能不全細胞においてERによってゲノム不安定性が生じるメカニズムを明らかにすべく、R-loopの集積をフローサイトメータおよび共焦点顕微鏡にて解析したが、依然として明らかな結果を得るには至らなかった。そこで、R-loopの一因となるグアニン四重鎖(G-quadruplex: G4)を、BG4抗体を用いて傾向免疫染色し、セロミクスにて定量化する方法を確立した。さらにG4を除去するDNAヘリカーゼであるFANCJとBLMの核内foci形成を定量化する方法もあわせて確立した。 II. マウスモデルについては、BRCA1Δ11/+マウスをアメリカNCIのMouse repositoryより入手を試みるも、入手出来なかったため、Cas9/CRISPRによるノックアウト細胞の作成に着手した。技術習得のため、近2倍体で相同組換え修復能が高く、ノックアウトが比較的容易なHCT116細胞とLentiCRISPRv2を用いたノックアウト技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画ではBRCA1Δ11/+マウスをアメリカNCIのMouse repositoryより入手予定であったが、これが困難であることが判明し、代替策としてCas9/CRISPRによるノックアウト技術に着手したため。
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Strategy for Future Research Activity |
I. 平成28年度に引き続き、Dox誘導性にBRCA1が抑制されてERαを発現する乳腺Diploid細胞を用いて以下の実験を行う。1)R-loopおよびG4が原因でDNAの複製が障害された細胞における分裂期のクロマチンの架橋形成を解析する。2)DNA複製障害に伴い、相同組換え修復あるいはdouble Holiday junctionの解離に障害に伴い高率に生じる姉妹染色体交換を解析する。3)サテライト領域のヘテロクロマチン構成異常:抗H3K9me2, 抗H3K9me3および抗H2A K119Ub抗体を用いたChIPアッセイにてヘテロクロマチンのヒストン修飾状況を解析する。同領域の転写サイレンシングをRT-PCRにて解析する。さらにグローバルなヘテロクロマチン変化をMicrococcal nucleaseアッセイにて解析する。4)染色体異常の増加:分裂期の核を展開し、染色体異常を解析する。 II. マウスモデルについては、まず、Cas9/CRISPR 技術を用いてES細胞よりBRCA1Δ11/+マウスを作成する。このマウスを用いて当初の計画通り、BRCA1Δ11/Δ11 Chk2-/- ERαTg/Tgマウスを作成する。作成したマウスを観察し、発癌の有無を解析する。各臓器の組織学的特徴やERαの発現状況、DNA損傷修復機構の解析を行う。
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Causes of Carryover |
BRCA1Δ11/+マウスを入手出来なかったため、マウスに要する費用を次年度に繰り越す必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金についてはCas9/CRISPR によるBRCA1Δ11ノックアウトES細胞の作成およびマウスの作成に使用する予定である。
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