2017 Fiscal Year Research-status Report
クロマチンダイナミクスから捉える卵子インプリンティング型X染色体不活化機構の解明
Project/Area Number |
16K15716
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
阿久津 英憲 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 部長 (50347225)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生殖医学 / 卵子クロマチン / X染色体 / 不育症 / 不妊症 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の2つあるX染色体では遺伝子発現量の補正機構が働き、片方のX染色体が抑制される。X染色体不活性化といわれるこの現象は受精直後からみられ、正常な胎盤及び胚の発育には必須であり、その乱れは習慣性流産、原発性卵巣機能不全(POI)や女性悪性腫瘍などとの関連性が報告されている。X染色体不活化は胚盤胞期までに確立されるため、卵子発生過程のX染色体不活化制御機構解明することは発生学のみならず医・薬学応用への展開も大いに期待される。本研究では、X染色体不活化を担う責任遺伝子(Xist)の制御機構と一つの染色体が不活化するというクロマチンのダイナミクスに着目し、卵子成熟過程特異的おこるX染色体クロマチン動態を明らかにする挑戦的研究を行う。 これまで着床前期胚(XX)発生において、卵子由来Xistはその発現制御領域(cis領域)のヒストンH3の9番目リジンのメチル化(H3K9me3)により発現が抑制されていることを見出した。卵子成熟過程でH3K9me3が卵子成熟過程で付加される修飾かembryo-ChIP法で解析した。Xist遺伝子領域のmajor promoter、minor promoterやA repeat領域を含めた19箇所を選定し未熟卵と成熟卵で比較したところH3K9me3に有意な差は認めず、未熟卵期ですでにH3K9me3が付加されていた。想定される制御機構として、始原生殖細胞期の段階で化学的修飾が行われるか、あるいはさらに核クロマチンレベルでエピジェネティックな付加が行われるかと仮定した。三次元蛍光免疫染色-FISH(IF-FISH)法により解析した結果、卵子成熟過程でXist領域のクロマチンが凝集することを確認した。クロマチンのダイナミズムが胚盤胞期までの発生過程で全能性獲得とどう関連するのか解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らが開発した三次元蛍光免疫染色-FISH法が卵子1個レベルでおきる核クロマチンのダイナミズム捉えられることを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
卵子成熟過程の初期ですでにXist遺伝子発現制御領域ではH3K9me3の修飾が行われていたが、クロマチン凝集度では大きな相違があった。受精後のX染色体不活化制御にどう関わっていくのか、Xistと関連する遺伝子も対象を広げ解析を進める。
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Causes of Carryover |
試薬の納品が年度内に間に合わなかったため、残金が生じた。残金分は、来年度消耗品費として使用する。
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