2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 解剖学 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳科学領域で既に透明化手法がいくつか確立されている試薬(BABB, THF-DBE, Sca/e, SeeDB, Cubic-reagent1, Cubic-reagent2など)と手法(3DISCO, CLARITY, PACT-PARS, CUBIC)を用いて蝸牛透明化を試みたが蝸牛骨組織を完全には透明化することはできなかった。そこで、Sca/e法に改良を加え、内耳骨胞・内耳の透明化に成功した。Myosin7a(有毛細胞)、Neurofilament200(神経線維)、Rhodamine-Phalloidin(聴毛)、VGLUT3(内有毛細胞内小胞グルタミン酸トランスポーター)など多くの染色に成功し、特許出願した。この手法を用い、蝸牛のすべての有毛細胞数のカウント、老化マウスや音響外傷マウスでの障害の観察なども成功し、障害時のシナプスや蝸牛神経線維の変性の進行なども解析している。また骨や関節の透明化にも応用できることを確認している。 透明化手法においてGFPシグナルの温存は課題の1つであるが、開発した硬組織透明化手法ではGFPシグナルを4ヶ月以上温存できることから、MtGFPマウスの蝸牛の透明化を行い、有毛細胞内のGFPシグナルを確認することができた。例えばP11では有毛細胞マーカーであるMyosin7aとGFPは共局在するのに対してP70マウスでは局在が異なる興味深い結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では脳科学領域で用いられている透明化手法を改良しても、屈折率の調整や免疫染色方法に多くの問題があることが予想されていた。実際、すでに確立されている試薬(BABB, THF-DBE, Sca/e, SeeDB, Cubic-reagent1, Cubic-reagent2など)と手法(3DISCO, CLARITY, PACT-PARS, CUBIC)を用いて蝸牛透明化を試みたが、蝸牛骨組織を完全には透明化することはできなかった。そこでSca/e法にランダムに多くの改良を加えて試行錯誤した結果、ある新規の改良を加えることで内耳骨胞・内耳の透明化に完全に成功した。実際内耳組織化学で頻用される多くの抗体(Myosin7a(有毛細胞)、Neurofilament200(神経線維)、Rhodamine-Phalloidin(聴毛)、VGLUT3(内有毛細胞内小胞グルタミン酸トランスポーター)など)で染色に成功し、特許出願も行えた。さらにこの手法を用い、蝸牛のすべての有毛細胞数のカウントが可能となり、老化マウスや音響外傷マウスでの障害の観察なども成功し、障害時のシナプスや蝸牛神経線維の変性の進行なども解析するなど、すでに二年目の研究予定もかなりこなせている。
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Strategy for Future Research Activity |
透明化手法の改良は大きく前進した。この手法を用いて、障害動物モデル解析は着実に進めることができる。それだけでも優れた新規性に富む結果と言えるが、さらに中枢聴覚も併せて解析するようなシステム構築を行うことで、末梢から中枢までの一連の解析が可能となる。またin vivoでの機能解析も大きなテーマである。脳表面では骨を外すことでも解析できるが、内耳は骨胞を外すと生理的条件ではなくなるため、解析データがばらつき、また生理的とはいえない。in vivoでも骨を透明化して解析できるシステムを構築することで、生理的条件下での観察が可能となることが期待されるため、そのシステム構築も進める。
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Research Products
(1 results)