2016 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部微小癌を見逃さない:新規蛍光プローブによる微小癌同定法の確立
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16K15722
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池上 太郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00754409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 仁 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50437993)
又吉 宣 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (60448587)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 可視化 / 術中イメージング / 微小癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌では、各種治療が開発されている現在でも、外科治療がゴールドスタンダードである。手術では病変を遺残すれば再発し、逆に大きく切除した場合には手術侵襲が大きくなり術後のQOLが低下するという問題がある。切除マージンは、個々の病態に応じた距離で設定するが、ルゴール(複方ヨード・グリセリン)を用いた観察を参考にすることが多い。しかし、ルゴール染色は色落ちしやすく、微小病変(5 mm以下)を検出できないという問題点がある。最近、癌細胞を特異的に光らせる蛍光色素プロテオグリーンが開発された。プロテオグリーンは、多くの癌細胞で発現が亢進しているガンマーグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の酵素反応を標的とする試薬で、癌組織にスプレー後5分ほどで癌部が緑色の蛍光を発する。プロテオグリーンは、癌細胞自体が蛍光を発するため、1 mm以下の微小癌も発見することができる。平成28年度は頭頸部癌手術切除検体を用いて、癌部のプロテオグリーンによる可視化有無、癌部と正常組織の境界判定を検討し、どの癌種で有効であるのかリストを作成に取り組んだ。これまでのところ、扁平上皮癌では癌部とプロテオグリーンによる可視化位置が完全に一致しているものがいくつか見られた。しかし、腺組織を多く含んでいる領域では、正常な腺組織はGGT活性がもともと高いことから、正常部と癌部の境界がわからなくなってしまうことがわかった。さらに現在、プロテオグリーンを使用した検体を用いて薄切切片を作製し、抗GGT抗体を用いた免疫染色とHE染色を行いプロテオグリーンの有用性について精査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究項目について、順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年に引き続き、平成29年はリスト化する癌種を増やす予定である。また現在使用しているプロテオグリーンはGGTで反応する蛍光試薬であるが、癌種によってはGGTでは可視化することができないことが明らかとなった。そのため、今後はその他の生体分子にも着目し、可視化に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
主研究者に加え3名の分担者に少額の残金が生じた。少額で使用できず来年度の予算と合わせて執行予定である
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入に充填する。
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