2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15724
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
稲垣 彰 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70405166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒲谷 嘉代子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50569259)
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80157750)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴覚 / カルシウムチャネル / 神経科学 / 耳鼻咽喉科学 / 薬理学 / 聴力改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳への薬剤の効果を確認するため、Wister ST ラットを用いて内耳、外リンパ液への直接投与を行いながら、聴力を測定するシステムの作成を行った。 安定した聴力測定を行うため、TDTシステム2、小動物用聴力測定装置のキャリブレーションを業者に依頼、調整した後、術中モニタリングシステムを構築した。WPI社の微量注入装置を購入し、ガラス管加工装置を用いてガラス管を加工、測定のための最適な方法を確立するために、投与経路の検討を行った。その結果、ある程度の閾値上昇を認めるものの、侵襲が比較的小さい耳後からのアプローチを行うこととした。耳後からのアプローチでは迷路骨包を開窓し、ガラス管挿入のための経路を作成するが、その開窓部からの音波の漏出が原因と思われる平均30dB程度の難聴が生じた。手術法を検討し、迷路骨包の開窓部を最小とすることで可能な限り、小さくし、創部に充填物を留置することで対応した。 次いで、外リンパ内への投与法を検討するため、投与量、投与速度の検討を行った。コントロール実験としてDMSO,1Mカドミウム液を用いて注入を行った。DMSOの注入では注入中、注入後を通して閾値には全く変化が見られなかったのに対して、1Mカドミウム注入群では10~20dB程度の閾値上昇が投与後、すみやかに見られた。このことから、外リンパ液への薬剤注入は有効であることが明らかにされたが、低周波の聴力測定は閾値上昇が大きく困難であり、技術的に改良の余地はある。 次年度はこれらの問題を克服し、BHQなどカルシウムチャネル作動薬の聴覚系における薬理効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核となる術中モニタリングによる薬剤投与による聴覚増強作用の研究に必要な、研究手段の技術的な問題点を概ね解決しており、概ね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
手術に伴う難聴はおおむね改善され、本研究には支障がない程度になったが、難聴が生じていることから、引き続き様々な工夫を重ね、問題点の解決を試みる。 また、全身投与に際しては個体は小さく実験に技術的な困難があるものの、遺伝情報や聴力の経時的な変化に関する情報が十分に蓄積されたC57Bl/6などのマウスの使用を検討し、必要に応じて研究の推進に用いる予定である。
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Causes of Carryover |
手術手技の確立に時間を要し、薬剤購入の必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に薬剤購入を行い、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)