2016 Fiscal Year Research-status Report
顕微内視鏡による頭頚部腫瘍の新しい光学生検法の開発
Project/Area Number |
16K15727
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
船曳 和雄 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (00301234)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 顕微内視鏡 / 光学生検 / 扁平上皮癌 / 術中迅速診断 / 自家蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らが脳研究のために開発してきた顕微内視鏡を頭頸部腫瘍例の光学生検に応用するというものである。頭頚部腫瘍例の摘出標本を対象とし、摘出直後に手術室で自家蛍光、各種蛍光色素、さらに特異的抗体染色を行い、リアルタイムで顕微内視鏡により組織像を得る。さらに通常の病理診断プロセスを経て得られる最終病理結果との対比を経て、臨床的に最も効率的な光学生検法の確立とシステムの開発を行うと言うものである。 本年度は頭頸部腫瘍のなかでも特に扁平上皮癌の迅速診断における有用性について検討した。顕微内視鏡は、市販の光ファイバー束を部材として使用し、一端を平面に、反対側を竹槍状に研磨し、平面側を試作した共焦点レーザー走査光学系で走査する形で竹槍状先端部周辺の組織像を可視化した。対象は神戸市立医療センター中央市民病院頭頸部外科にて手術した扁平上皮癌症例で、手術により摘出された標本を手術室内に設置したシステムで迅速に評価する形で行った。扁平上皮癌組織では該当する正常組織に比べて高率に青色(473nm)レーザー励起に対する緑領域(500-550nm)の自家蛍光の低下を認めた。一方、561nmレーザー励起に対する自家蛍光に関しては、正常組織、がん組織で明確な差を見出すことはできなかった。また、アクリフラビン滴下による迅速蛍光染色では、正常粘膜領域と扁平上皮癌領域とで核の均一性、分布等に明確な差が認められる例が多く、頭頸部外科領域に於ける顕微内視鏡のリアルタイム光学生検による組織学的評価の有用性を示唆する結果を得た。特に表在癌に於いては、正常咽頭粘膜ではカエルの卵ように細胞が配列しているが、癌領域では細胞密度が高く、明らかに正常組織と見え方が異なっていた。しかし、表面以外の領域では、正常組織でも細胞密度が高くなる領域があり、アクリフラビン単色の核染色のみでは癌組織の確定診断は困難に思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに10例以上の扁平上皮癌症例の摘出標本について検討することが出来、これらについて、国際学会等で発表を開始している(Shinohara et al, Asian Head and Neck Surgery, Indonesia, March, 2017)。これらを通じて現時点までに、癌特異的な抗体等でラベル出来るようなものが必要であることが明らかになった。そのためのHardwareの変更、具体的には多色レーザー光源と複数の光検出器の用意はすでに終了している。現在、癌特異抗体に関しては、市販品(ProteoGreen,五稜化学)をはじめ、いくつか入手し、準備を始めている。また同時に理化学研究所CLST内で、2色の蛍光を発することで、細胞周期を可視化出来るFucci5という遺伝子を発現させた各種腫瘍モデル(大腸がん、乳がん、グリオーマ)を作成し、多色蛍光の同時、半同時検出と細胞レベルの解析が顕微内視鏡画像から出来るようにプログラムを作成した。これら結果についても昨年、分子生物学会で発表した。(Nakano et al, 日本分子生物学会、横浜、2016)
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光を用いた腫瘍組織の可視化に関しては、現在様々な試みがなされている(例;Mizushima T et al, BMC Cancer, 2016, Onoyama et al, Sci Rep, 2016)。これらはすべてマクロでの可視化であるが、我々の顕微内視鏡システムを用いれば、内視鏡先端からの励起光により、マクロレベルの検討が出来るだけでなく、内視鏡先端と組織を接触させることでそれをミクロレベルで行なうことが出来ると考えられるため、これら腫瘍の特異的ラベリングの有用性が更に高くなるものと期待される。このため、今年度は広くこれら特異的抗体のラベリングを試みる予定にしている。また、近赤外線領域の蛍光プローブが多く開発されている現状を踏まえて、今年度はより波長の長いプローブに対応した光学系も用意し、それらの可能性も探求する予定である。さらに理化学研究所で行っているFucci5を用いた担癌モデル動物でのin vivo観察結果(すでに2016年度日本分子生物学会で発表済み)を論文化する。
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Causes of Carryover |
抗体購入や成果発表等で本年度により多くの研究費を残す必要があったため繰り越しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体購入の為、6月末までには繰越した研究費は使用し、年度末までに、すべての研究費を使用する予定です。
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[Presentation] Optical Biopsy in Head and Neck Cancers using Fiber-bundle based Micro-endoscope.2017
Author(s)
Shogo Shinohara, Kazuo Funabiki, Masayuki Nakano, Toshiyuki Goto, Yosky Kataoka, Shinji Takebayashi, Koji Saida, Kazuki Hayashi, Ryosuke, Yamamoto, Tetsuhiko Michida, Hiroyuki Harada, Keizo Fujiwara, Yukihiro Imai, Yasushi Naito
Organizer
5th Congress of ORL-HNS Oncology
Place of Presentation
Indonesia
Year and Date
2017-03-23 – 2017-03-25
Int'l Joint Research
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[Presentation] Functional optical imaging from bat inferior colliculus using a micro-endoscope.2016
Author(s)
Yashiro, H., Funabiki, K., Simmons, A.M., Simmons, J.A., Riquimaroux, H.
Organizer
The 5th Joint Meeting of the Acoustical Society of America and the Acoustical Society of Japan
Place of Presentation
Honolulu, Hawaii, USA
Year and Date
2016-11-28 – 2016-12-02
Int'l Joint Research
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