2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性の新規病因遺伝子探索をもとにした戦略的治療開発
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16K15733
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
馬場 高志 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (40304216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, 教授 (10213183)
宮崎 大 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (30346358)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 疾患モデルマウス / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス骨髄細胞移植加齢黄斑変性(AMD)モデルを用いた候補因子Xの機能解析:候補因子Xの脈絡膜新生血管(CNV)への作用を解析するため,マウス骨髄細胞移植を行ったAMDモデルマウスを作成し,CNVの解析を行った。その際に,移植骨髄由来細胞の同定のためにGFPマウス骨髄細胞を低毒性生細胞蛍光標識法を用いてラベルし,CNVに集蔟したGFP陽性細胞と低毒性蛍光標識が一致することを確認でき,新たに低毒性生細胞蛍光標識法を応用したマウスAMDモデルの有用性を確認した。CNVに集簇した候補因子X陽性細胞のメカニズムを解析するため,各種血球系マーカーと抗CD31抗体を用いた多重染色で,CNVの感受性に関与した候補因子X陽性の骨髄由来細胞の分化とCNVへの集簇を確認した。 野生型マウスの初代網膜血管内皮細胞を用いた候補因子Xの血管形成作用の解析:マウス骨髄由来血管内皮細胞を用いて,In vitro血管内皮細胞チューブ形成アッセイを行った。候補因子X抗体またはX受容体抗体による阻害による管腔形成が抑制されることを確認した。そのメカニズムにMCP-1の関与が示唆された。 加齢黄斑変性患者と健常者より得られた検体のSNP解析:同意が得られた加齢黄斑変性患者と加齢黄斑変性を発症していない健常者から提供された血液検体由来のゲノム情報をもとに,既知の加齢黄斑変性関連遺伝子(CFH,HTRA1,ARMS2の複数のリスクアリル)とともに候補因子Xのプロモーター領域に存在するアリルについて加齢黄斑変性の感受性との相関を確認した。得られた結果からは,CFH,HTRA1,ARMS2いずれも,リスクアリルと疾患感受性は高い割合で相関する傾向があった。確認できた候補因子Xのプロモーター領域にあるアリルは,他の加齢黄斑変性のリスクアリルと比較して,検体数が少ないこともあり,現時点では,強い相関の確認はできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.候補因子Xの作用解析 in vivo:マウスモデル作成に用いたレーザー装置(安全フィルター)の故障で修理と再キャリブレーションに時間を要した。また,遺伝子欠損マウスの増産が困難なため,実験に必要なマウスの個体数確保のためには体外受精を用いる必要があり,現在,骨髄移植細胞を用いた系の再現性を確認するための十分なスケールのマウスコロニーを準備中である。 2.候補因子Xの作用解析 in vitro:概ね順調であるが,引き続き,候補因子X受容体のCNV発生に関与する具体的な作用機序の解明を要する。 3.加齢黄斑変性患者と健常者より得られた検体のSNP解析:現在,加齢黄斑変性患者と健常者から得られた検体はそれぞれ60例を越え,順調であるが,現時点までの予備的な解析では,因子Xのプロモーター領域にある候補リスクアリルは,他の既知のリスクアリルに匹敵するような強い疾患感受性があるとはいえなかった。今後,検体数や他の候補リスクアリルについて解析するなどスケールを拡大する前に,現在,得られた結果について,その表現型を含め,再度見直しを行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.マウスモデルを用いた候補因子XのCNV形成への関与の解明:候補因子X刺激によって骨髄由来血管内皮細胞で誘導された分子の網羅的解析の結果を踏まえて,VEGFを介する系から独立した血管形成メカニズムについて探索を行う。その探索結果をもとに,CNVに集簇している骨髄由来細胞の分化について免疫組織学的手法を用いて解析する。また,GFPマウス骨髄を移植したAMDモデルマウスの,レーザー照射後,1日,3日,7日,2週間後のCNVに集簇しているGFP標識移植骨髄由来細胞の動態について,各種細胞マーカーを用いて,多重免疫組織学的手法で解析する。 2.新たなCNV形成メカニズムの探索:候補因子X受容体刺激後のCNV発生メカニズムについて,MAPKを介したシグナル伝達を介している可能性があり,RhoAの活性化とROCKなど更に下流のシグナルを介して細胞の伸展,細胞増殖の調節や細胞質分裂などと連動した細胞骨格構成分子の再構築を促すことで,直接的にCNVを誘導している可能性について,引き続き解析を行う。 3.AMD患者と健常者より得られた検体のSNP解析:AMD患者と健常者より得られた血液由来のゲノム情報をもとに,引き続き,因子Xに関与するSNP解析を行う。患者由来の前房水のプロテオミクス解析の結果と,マウスモデルの結果,血管内皮細胞を用いた結果から,加齢黄斑変性の疾患感受性と何らかの相関があることは推測されるため,更に検体数を増やし,他の候補リスクアレルを検討するとともに,個々の症例の表現型を更に詳細に検討して,既知のAMDリスクアレル陽性の症例のフェノタイプを修飾する要素がないか確認する。また,前房水のプロテオミクス解析との関連についても再度検討する。
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Causes of Carryover |
骨髄移植マウスCNVの時系列での解析のため,実験のスケールを拡大する必要があり,マウス購入と維持費用を要する。また,CNVに集簇したGFP陽性細胞の共焦点レーザー顕微鏡と多重免疫染色を用いた組織学的解析のため,細胞マーカーが新たに複数必要である。候補因子X受容体下流のシグナル伝達のうち,VEGFの系を介さずにCNV発生を制御している可能性が示唆されたが,候補因子XによるCNV発生メカニズムを明らかにするため,主にin vitroの系を用いた解析において,更に解析を進める必要がある。また,候補因子XとAMD疾患感受性との関連を明確にするため,AMD患者と健常者より得られた血液由来のゲノム情報をもとにした候補因子Xとその受容体に関与するSNP解析を引き続き進める必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.マウスモデルCNV集簇細胞の解析:骨髄移植モデル作成のための効率的な条件を確認した上で,CNV形成段階のどの時期に骨髄由来細胞が動員されるのか,時系列的に確認するため,レーザー照射後各データポイントにおけるCNVを各種細胞マーカーで多重免疫組織学的解析を行い,CNVに集簇したGFP陽性細胞の分化について確認する。 2.候補因子X受容体によるCNV発生メカニズムの検証 in vitro:初代マウス網膜血管内皮細胞の血管形成アッセイを用いて,候補因子X受容体下流の分子と血管形成との関連について引き続き検証する。候補因子X受容体下流の標的蛋白のsiRNAもしくは選択的キナーゼ阻害薬を用いて血管形成への関与を確認する。 3.AMD患者と健常者より得られた検体のSNP解析:ゲノム検体数追加と候補因子Xの他のアリル追加解析のための検査費用にあてる。
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[Journal Article] Steroid-Sparing Effect of 0.1% Tacrolimus Eye Drop for Treatment of Shield Ulcer and Corneal Epitheliopathy in Refractory Allergic Ocular Diseases.2017
Author(s)
Miyazaki D, Fukushima A, Ohashi Y, Ebihara N, Uchio E, Okamoto S, Shoji J, Takamura E, Nakagawa Y, Namba K, Fujishima H.
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Journal Title
Ophthalmology
Volume: 124
Pages: 287-294
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The effect of topical application of 0.15% ganciclovir gel on cytomegalovirus corneal endotheliitis.2017
Author(s)
Koizumi N, Miyazaki D, Inoue T, Ohtani F, Kandori-Inoue M, Inatomi T, Sotozono C, Nakagawa H, Horikiri T, Ueta M, Nakamura T, Inoue Y, Ohashi Y, Kinoshita S.
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Journal Title
Br J Ophthalmology
Volume: 101
Pages: 114-119
DOI
Peer Reviewed
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