2016 Fiscal Year Research-status Report
bFGFとの結合を介するLTBP-2の創傷治癒における機能的役割の解明
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16K15749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 和男 京都大学, 医学研究科, 助教 (50633161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中邨 智之 関西医科大学, 医学部, 教授 (20362527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炎症 / 線維化 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者の研究室よりLTBP-2欠損マウスの雄2匹を動物実験施設へ搬入した。その後、野生型マウスの雌と交配させLtbp2対立遺伝子が1つ破壊された雄マウスと雌マウスを繁殖・維持させた。それらを交配させることによってLTBP-2欠損マウスと野生型マウスを繁殖・飼育させた。 野生型マウスとLTBP-2欠損マウスの腹腔内に完全フロイントアジュバントを投与して炎症を起こすモデルを作製した。適切な炎症反応を起こす投与量、投与間隔、投与回数についての検討を行った。7週齢の雌の場合2週間隔で1回200ul×2回投与、7週齢の雄の場合2週間隔で1回300ul×3回投与で肉眼的な腹腔内臓器の癒着が十分見られることがわかった。脾臓または肝臓の組織切片を作製しマッソントリクローム染色を行ったところ、脾臓および肝臓の周囲にコラーゲンからなる線維化組織が形成されていることを確認した。 LTBP-2の機能解析のためのin vitro実験系を確立した。野生型マウス胎児を胎生13.5日齢で採取しマウス胎児線維芽細胞を採取・培養した。このマウス胎児線維芽細胞を不死化するためヒトテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子を導入した後クローン化した。Ltbp2遺伝子の発現抑制はsiRNAを用いて行い、qPCRにて遺伝子発現が抑制されていることを確認した。またLTBP-2欠損マウスの胎児を胎生13.5日齢で採取しマウス胎児線維芽細胞を採取・培養した。レスキュー実験を行うため、リコンビナントLTBP-2タンパク質の作製、およびLtbp2遺伝子発現レンチウィルスの作製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス腹腔内炎症モデルの確立は順調であったが、炎症反応や線維化の程度が一定しなかった。この理由は完全フロイントアジュバント中に懸濁しているマイコバクテイア死菌の投与量依存的に炎症反応が起こるので、死菌の懸濁具合により投与される死菌量が一定しなかったためと考えられた。本結果を踏まえて十分な懸濁をした完全フロイントアジュバントを投与して再実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
7週齢のコントロールマウスおよびLTBP-2欠損マウスの背部真皮内に完全フロイントアジュバントの注入を行い真皮炎症モデルを作製する。注射は34ゲージ針を用いて実体顕微鏡下に行う。1回50ulを注入し、十分な線維化組織が形成される条件を検討する。線維化組織の定量には液体クロマトグラフィー質量分析法によるハイドロキシプロリンの定量を行う。 マウス胎児線維芽細胞株のLtbp2発現抑制あるいはLTBP-2欠損マウス胎児線維芽細胞を用いてI型およびIII型コラーゲン遺伝子発現変化の測定を行う。レスキュー実験としてリコンビナントLTBP-2タンパク質の添加またはLtbp2遺伝子導入を行いI型およびIII型コラーゲン遺伝子発現変化の測定を行う。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの搬入・交配・飼育を行う必要があり、マウスを用いた実験の開始が11月からとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子改変マウスの繁殖・維持のため約30万円。組織染色などの解析に約20万円。細胞培養実験試薬購入に約50万円。
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