2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15758
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中田 孝明 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20375794)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 急性腸間膜虚血モデル / 盲腸穿孔モデル / biomarker / Proteomics |
Outline of Annual Research Achievements |
Proteomicsを用いて急性腸間膜虚血の新規biomarkerを同定する事を目的とした動物実験を施行中である。 Sprague Dawleyのラットを用いて①急性腸間膜虚血モデル,②盲腸穿孔モデル,③単開腹モデルの以上の3つのモデルから血漿検体を採取している。また,虚血時間がbiomarkerに及ぼす影響を解析するため,モデル作成後2時間,6時間の二つのtime pointで検体採取を行なっている。2017年度の期間の前半は手技の安定と,モデル動物を長時間バイタルサインの維持させて生存させ,モデルの最適化を行なった.結果として2017年度の期間の後半ではモデルを安定させることができ,検体の採取を進めることができた。 具体的には①急性腸間膜虚血モデルと③単開腹モデルの二つのモデルでは予定していた数(5匹づつ)の検体採取はすでに終了しており,②の盲腸穿孔モデルの検体採取を残すのみである.また,すでに採取した検体については前処理を終えており,今後Proteomics解析を行う準備ができている.また,同時に千葉大学医学部付属病院におけるヒトの急性腸間膜虚血の臨床検体の採取も進んでいるため,動物実験で得られたbiomarker候補をヒト検体で検証する準備も同時に進んでいる。 <意義、重要性> 2017年度は検体の採取を安定して行えるようになったこと,そして検体採取も80%程度が終了し,今後本格的なProteomics解析と論文作成にうつる準備ができたため,意義のある一年となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル動物の最適化に時間を要した。まずモデル動物を作成するにあたって動物に全身麻酔導入,気管挿管,動脈圧ライン挿入,静脈ライン挿入と言った処置を加えるが,それに伴いバイタルサインが変動するため,最終的な結果に影響を及ぼすようなバイタルサインの異常が出ないようにモニタリングを行い,対処法を工夫する必要があった。また,さらにその後6時間人工呼吸管理をした上でバイタルサインを安定させて維持させる必要があるが,この時にもモニタリング法や輸液を調節する必要があった。上述のようにモデル動物を6時間安定化させた上で生存させることが困難であり,想定していたより時間を要した。 また,本実験では上腸間膜動脈を結紮することで急性腸間膜虚血を惹起しているが,結紮によっても虚血の程度がモデルごとに異なることがわかった。これはおそらく側副血行路の発達が個体ごとに異なるためであると予測される。この差が結果に影響する事を避けるため,側副血行路も同時に結紮する事で対処するようにしたがこうした理由で当初予定したより多くの実験をこなす必要があり,実験計画の遅れに繋がった。
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Strategy for Future Research Activity |
既に半分以上の検体採取を終えており,残りの検体採取を進める。同時に既に採取を終えた検体から前処理を進めており,Proteomics解析を進めていく。また,Proteomics解析のみならず,cell free-DNAと言った項目の測定も進める。 動物実験の解析が進んで,biomarker候補が導出できれば同様の所見がヒト検体でも得られるかどうかを千葉大学医学部付属病院で患者から同意を得られ採取したヒトの急性腸間膜虚血の臨床検体を使用し検証する。ヒトでは,手術が必要であった急性腸間膜虚血検体と保存的加療で経過を見ることができた急性腸間膜虚血検体が存在するため,こうした臨床経過がbiomarkerにどう影響を与えたかも検証することが可能である。
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Causes of Carryover |
<繰越金が生じた理由> 2017年度までで予定されていた全ての実験を終えることができなかったため,2018年度も動物実験を続ける必要がある。動物実験を続けるための購入資金や試薬,飼育物品を購入するため繰越金が生じた。またProteomicsに伴い生じる試薬なども繰越金で購入する予定である。 <使用計画> 上述のように動物実験,特に盲腸穿孔穿孔モデルの実験を進めるための物品や動物の購入資金として使用する。Proteomics解析のための試薬購入に使用する。また,成果を海外学会にて発表するための費用としても使用する予定である。
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