2016 Fiscal Year Research-status Report
敗血症・虚血再灌流傷害患者に対する5-アミノレブリン酸の抗炎症効果
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16K15767
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木下 浩作 日本大学, 医学部, 教授 (90260968)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アミノレブリン酸 / 抗炎症効果 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床的に、敗血症や低血圧後の再灌流傷害患者は、多臓器傷害に進展することが、転帰悪化の一因になる。これら二次性臓器組織傷害への進展には持続する炎症反応が関係している。申請者らは、敗血症や低血圧後の虚血再灌流傷害患者では、ヘム分解酵素の活性化により、ヘム代謝産物による抗炎症効果が作用を発揮するが、その後、5-ALA mRNAの発現抑制による5-ALAの減少により、ヘムの消費が進み、抗酸化・抗炎症性作用が減弱するため炎症反応が持続するとの作業仮説を立てている。これまでの報告では、アミノレブリン酸を用いて抗炎症効果を検討した臨床研究は存在しなかった。しかし、高齢者に対して連日7日間100mg/日投与によっても安全性に問題はなく、運動負荷による酸素消費量の減少効果を認めたと報告(Masuki S, et.al. J Appl Physiol (1985). 2016;120(1):87-96.)された。これまで投与量と投与回数や炎症疾患に対する抗炎症効果をどこまで期待できるかは、明確ではなかった。先の報告から、1回100mg投与でも酸素消費量の減少効果を認めたことからも、敗血症患者に対する虚血再灌流傷害の軽減が期待できると考察している。 今年度は、敗血症患者での組み入れ症例が少なかった。その原因として症例等の重症度から、患者および家族からの同意取得が得られないことが頻回にあった。しかし、亜急性期の病態でも、理論的は5-ALAの抗炎症効果として、サイトカイン産生抑制作用を確認することができると考えている。そのため、患者をエントリーする病態を超急性期から亜急性期まで幅をとり、研究支援者として大学院生等にも同意取得について協力して研究体制を強化する。原則、主治医不在の夜勤帯では、患者・家族への説明が行いにくい問題が明らかになったため、研究体制を強化し、研究支援者を夜勤帯にも配置した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設において、年間約80例の敗血症患者もしくは低血圧離脱後の虚血再灌流傷害患者が入院し、その1/4がエントリー可能と推定し、症例数を20症例としたが、同意取得症例が少なく(5症例)最終的な測定に至っていない。 本研究では、網羅的サイトカイン測定を行う予定である。1症例で、1日2回3日間で6サンプルで各2回測定するため12サンプル測定する。合計20症例で240サンプル測定するが、サイトカイン測定用キットは、1セット約60サンプルが測定可能であり、凍結保存後にサンプルを同時測定することで経費を削減できるため、昨年度はサンプルのサイトカイン網羅的測定は行わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、敗血症や低血圧からの離脱後の虚血再灌流傷害患者に対して、5-ALAを投与することで、抗炎症効果を確認することである。年間約80例の敗血症患者もしくは低血圧離脱後の虚血再灌流傷害患者の入院は見込めている。選択基準は、20歳以上で、循環動態が安定している患者であるが、測定時期については、研究計画では言及していない。敗血症等の病勢が極期である患者をエントリー(昨年度実績は、5例)してきたが、病勢が徐々に落ち着いた亜急性期の病態でも、理論的は5-ALAの抗炎症効果として、サイトカイン産生抑制作用を確認することができると考えている。そのため、患者をエントリーする基準は、病態を超急性期から亜急性期まで幅をとり、研究支援者として大学院生等にも同意取得について協力して研究体制を強化する。
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Causes of Carryover |
前年度は、組み入れ症例数が少なかった。サイトカイン測定用キットは、1セット約60サンプルが測定可能であり、凍結保存後にサンプルを同時測定することで経費を削減できる。そのため、昨年度は、試薬の新規購入やサイトカイン測定を見合わせ、一括測定することでの経費削減を図り、サンプルのサイトカイン網羅的測定は行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
症例の選択基準は、20歳以上で、循環動態が安定している患者であるが、測定時期については、研究計画では言及していない。敗血症等の病勢が極期である患者をエントリーしてきた(5例)が、病勢が徐々に落ち着いた亜急性期の病態でも、理論的は5-ALAの抗炎症効果として、サイトカイン産生抑制作用を確認することができると考えている。そのため、患者の病態を超急性期から亜急性期まで幅を取ることにした。 具体的には、今年度は組み入れ症例数を増やすため研究体制を強化し、各勤務帯に研究協力医師を配置した。
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