2017 Fiscal Year Research-status Report
急性硬膜下血腫-幹細胞移植モデルを用いた急性期プレコンディショニング治療の確立
Project/Area Number |
16K15768
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
横堀 将司 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70449271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増野 智彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (00318528)
須田 智 日本医科大学, 医学部, 講師 (00366733)
山田 真吏奈 日本医科大学, 医学部, 講師 (70508621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞移植 / 頭部外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症頭部外傷における急性期治療は、脳酸素化と脳循環の維持による二次的脳損傷の予防が主体であったが、基礎研究では酸素運搬体Perfluorocarbonを用いた急性期治療は、重度損傷による細胞呼吸障害を改善させることができなかった(横堀ら, 脳死・脳蘇生2015)。治療限界は自明となり、一次的脳損傷の治療を指向した治療戦略の確立が急務であると考える。我々は重症頭部外傷モデルを用いた神経幹細胞移植の実現可能性について基礎的研究による検討を行った。無胸腺ラット(F344/NJcl-rnu/rnu:雄10W 200g)を用いた。顕微鏡下に自家血液を硬膜下に注入した急性硬膜下血腫モデルを作成し(n=6)、30分後に減圧開頭を施行。術後1週後にGFP陽性ヒト神経幹細胞(hNSC: NSI-566, Neuralstem社)を100,000個/、傍損傷部の海馬近傍に部位にマイクロインジェクターにて移植した。4週間のRotarodによる行動実験を行った後、脳固定を行い移植細胞の生着を確認した。Sham群としてhNPCの代わりに培養液のみを注入する群を作成し(n=3)治療群と比較した。GFP陽性神経幹細胞は移植後第4週で損傷組織近傍に生着し、神経軸索を進展させる像が得られた。有意差は得られなかったが、第4週のRotarodによる歩行保持時間はhNPC移植群で長く(中央値Transplant = 91.3 秒, Sham = 61.5秒)、hNSCの非劣性が確認された。神経細胞移植による再生医療は頭部外傷においても新しい治療戦略となる可能性が考えられた。脳低温療法や薬物治療などの急性期医療がどのように細胞の生着に関与するか、拒絶反応をどのようにコントロールするか、更なる検討を要する。認知機能や長期転帰についても評価が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究におけるラットモデル作成は安定しており、引き続き幹細胞移植を行いつつ、長期転帰を確認する研究を継続しうる
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Strategy for Future Research Activity |
前述の如く、幹細胞移植の非劣性が確認された。神経細胞移植による再生医療は頭部外傷においても新しい治療戦略となる可能性が考えられた。脳低温療法や薬物治療などの急性期医療がどのように細胞の生着に関与するか、拒絶反応をどのようにコントロールするか、更なる検討を要する。認知機能や長期転帰についても評価が必要である。
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Causes of Carryover |
ラットモデル作成、幹細胞移植で消耗品の購入が少なくすんだ。故、次年度使用額が生じた。来年度の移植細胞購入費用に充てる。
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Research Products
(1 results)