2016 Fiscal Year Research-status Report
分子解析による赤唇発生機構の解明~再生に向けた展開研究~
Project/Area Number |
16K15773
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大峡 淳 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)
井上 佳世子 (野澤佳世子) 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (90303130)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 赤唇 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤唇をはじめとする皮膚-粘膜移行組織は生涯にわたり、その境界を拡大・縮小することのない高い恒常性をもつ組織であり、また、全身的に皮膚-粘膜移行組織に症状が認められるスティーブンス・ジョンソン症候群や固定薬疹も知られる。このことは全ての皮膚-粘膜移行組織に共通の分子機構が存在することを示唆する。本研究の目的はマウス、ヒトの6つの皮膚-粘膜移行組織の形態的ならびに分子的解析から、赤唇領域の恒常性維持のための分子を同定する。 (1)各皮膚-粘膜移行組織間の分子格差の解析、(2)器官培養における物理的変化に対する分子変動、(3)recombination法による分子変動解析、(4)同定ヒト赤唇恒常性制御分子の変動(抑制または過剰)を明らかにすることにより、マウスでのヒト様赤唇形成を試みることである。 今年度は各皮膚-粘膜移行組織間の分子格差の解析、同定特異的遺伝子の位置の同定、各皮膚-粘膜移行組織の恒常力解析を主として行った。ヒト口唇から組織切片を作成し、口唇皮膚部、赤唇部、口唇粘膜部からレーザーマイクロダイセクションにて、各組織の上皮、間葉それぞれからRNAを抽出し、各部位における発現遺伝子の差異をマイクロアレイ、qPCR、RNAシーケンスにて検索する予定であった。しかし、予定していた枚数の組織切片からでは、マイクロアレイ、qPCR、RNAシーケンス検索のための十分なRNA量が採取できず、大量の組織切片の作成が必要である事が明らかとなり、現在遂行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究目的のために必要なヒト口唇皮膚部、赤唇部、口唇粘膜部から摂取できるRNA量が予想以上に少なく、大量の組織切片の作成が必要となったことが、研究遅延の大きな要因の一つである。また、マウスの各皮膚粘膜移行組織(口唇、眼、外陰部、肛門)の皮膚、移行部、粘膜部からのRNA採取予定であったが、ヒトの口唇と組織学的特徴が大きく異なるため、移行部の境界の設定に時間を要し、予定の実験を全て遂行することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト口唇皮膚部、赤唇部、口唇粘膜部からのRNA量を獲得できる見通しがおおむねたった。今後は予定通り、口唇皮膚部、赤唇部、口唇粘膜部、各部位における発現遺伝子の差異をマイクロアレイ、qPCR、RNAシーケンスにて検索する予定である。また、マウスの各皮膚粘膜移行組織(口唇、眼、外陰部、肛門)の皮膚、移行部、粘膜部の境界の設定もおおむね完了し、レーザーマイクロダイセクションにて、各部位の上皮、間葉それぞれからRNAを抽出し、各部位における発現遺伝子の差異をマイクロアレイ、qPCR、RNAシーケンスにて検索する予定である。
|
Causes of Carryover |
必要なヒト口唇皮膚部、赤唇部、口唇粘膜部から摂取できるRNA量が予想以上に少なく、大量の組織切片の作成が必要となったため、遺伝子解析に用いる試料の採取に主眼が置かれる結果となり、遺伝子解析が行うことができず、またその研究成果を発表することができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述した推進方策にしたがい、必要な実験動物、試薬等の消耗品類を購入する。また、国内外の学会における成果発表の旅費に充てる
|