2016 Fiscal Year Research-status Report
胚性幹細胞を用いた歯の器官形成過程の解析及び歯の器官形成の試み
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16K15774
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山崎 英俊 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00283987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 利之 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (30452220)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経堤細胞 / 象牙芽細胞 / エナメル芽細胞 / Dspp / Amelogenin / 胚性幹細胞 / 象牙芽細胞の前駆細胞 / エナメル芽細胞の前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、神経堤由来細胞及び全細胞を蛍光標識出来る胚性幹細胞株を用いて、試験管内で象牙芽細胞とエナメル芽細胞を誘導する条件を検討した。その際、神経堤細胞に由来すると考えられる象牙芽細胞の分化誘導の有無をDsppを指標に、上皮系細胞由来のエナメル芽細胞の分化誘導の有無をAmelxを指標に行ない、DsppとAmelxが効率的に誘導される条件を見つけた。また、神経堤由来細胞を蛍光標識出来る胚性幹細胞株を用いて、蛍光陽性細胞からDsppが効率的に誘導される事を明らかにした。また、細胞表面抗体を用いてAmelx陽性細胞が上皮系細胞から誘導される事を確認した。また、これらが間葉系細胞、上皮系細胞である事の傍証としてkeratinやosteocalcin, osterix, Runx2, type II Collagen, DMP1などの発現も併せて検討し、Dspp陽性細胞分画は効率的に間葉系遺伝子を発現し、Amelx陽性細胞分画はkeratinの高発現が認められた。以上から、試験管内でAmelx陽性、Dspp陽性細胞が、上皮系及び神経堤由来細胞から誘導されている事が確認できた。 これらが、正常発生と同様であるかを確認する目的で、歯胚細胞を単離し、Dspp陽性細胞及びAmelx陽性細胞がどのような細胞分画に多いかを各種細胞表面抗体を用いて単離し、リアルタイムPCR法にて検討した。Dsppは非上皮細胞分画に、Amelxは上皮細胞分画に濃縮されていることが判った。 現在、歯胚と胚性幹細胞株由来の各時期の培養細胞でのDsppとAmelxの発現を比較する事と各種細胞表面抗体等を用いて、象牙芽細胞やエナメル芽細胞誘導がDspp陽性細胞やAmelx陽性細胞を濃縮した細胞分画と同様の細胞分画が胚性幹細胞株を用いた分化誘導系で誘導されるかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画とおり、胚性幹細胞株からDspp,Amelxを指標に象牙芽細胞、エナメル芽細胞を効率的に誘導できる条件を見出した。また、Dspp陽性細胞が主に非上皮系の神経堤由来の細胞から誘導される事を、各種細胞表面抗体と神経堤由来細胞を蛍光標識できる系で明らかにした。同時に、マウスの歯胚からDspp, Amelxを指標に象牙芽細胞とエナメル芽細胞が濃縮されている分画を単離できた。また、全胚性幹細胞を蛍光標識出来る細胞株からも、Dspp,Amelxを指標に効率的に象牙芽細胞やエナメル芽細胞を誘導できる系を確立したので、正常歯胚と混合し、移植或は器官培養により歯の器官形成への有無を検討できる準備は整っている。 しかし、エナメル芽細胞が上皮系由来細胞から誘導される事の確認のために、上皮由来細胞のみを蛍光標識出来るマウスから胚性幹細胞株の樹立を計画したが、未だに樹立に至っていない。代わりに、上皮系細胞を分離することができる細胞表面抗体を見いだしたので、これを代用しており、大凡の計画とおりに研究は進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、歯胚と胚性幹細胞株を用いた分化誘導系の比較を行なう。主に、Dspp, Amelxを指標に象牙芽細胞或はエナメル芽細胞及びこれらの前駆細胞の検出と単離を目指す。 1)歯胚の細胞を用いて各種細胞表面分子で単離された様々な分画でDspp, Amelx陽性細胞の濃縮された分画が、胚性幹細胞株から誘導されたDspp,Amelx陽性細胞でも同様の分画が誘導されているかをまず検討する。2)併せて、経時的に試験管内分化誘導系と生体内の分化誘導を比較する。3)次に、生体の歯胚の細胞分画で培養前はDspp, Amelx陰性で、培養後にDspp, Amelxの高い発現が誘導される分画、象牙芽細胞の前駆細胞とエナメル芽細胞の前駆細胞を検出し、単離する事を目標とする。4)これらの前駆細胞が胚性幹細胞株でも誘導されているかを分化培養系を用いて検討する。 細胞分取装置は既に本学に整備されているので、実験を遂行する上で支障はないが、生体内と試験管内で誘導される細胞の分化過程や用いる因子に違いが出る可能性は否定できない。生体内と大きく異なる場合は、培養系に更なる工夫が求められる可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Restrictive IL-10 induction by an innocuous parainfluenza virus vector ameliorates nasal allergy.2017
Author(s)
Yamanaka K, Nakanishi T, Isono K, Hasegawa C, Inada H, MIzutani K, Matsushima Y, Okada K, Mabuchi T, Kondo M, Yamagiwa A, Kakeda M, Habe K, Nosaka T, Gabazza EC, Yamazaki H, Mizutani H, Kawano M.
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Journal Title
J. Allergy Clin. Immunol.
Volume: 139
Pages: 682-686
DOI
Peer Reviewed
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