2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔内細菌が産生する炎症物質の脳血液関門・神経疾患への影響
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16K15777
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 正彦 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (40105888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10435860)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔内細菌 / 多発性硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内の二大感染症がう蝕と歯周病であり、それぞれの主な原因菌としてStreptococcus mutans(S. mutans)とPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)が有名である。S. mutansは歯科治療中の出血により、P. gingivalisは慢性的な歯周炎により血液中に侵入すると考えられている。近年口腔内細菌が心血管疾患など、全身性疾患に関わることが知られている。本研究はう蝕の原因菌S. mutansと歯周病の原因菌P. gingivalisが口腔内を超えて脳神経疾患に与える影響を明らかとすることを目的とする。神経疾患実験モデルとして、2つの多発性硬化症動物実験モデルを用いて菌の影響が脳血液関門において遮断されるかどうかを検討する。実験的自己免疫性脳脊髄炎とクプリゾン誘導脱髄モデルは、前者は脳血液関門が崩壊するが、後者は崩壊しない実験モデルであり、どちらも神経軸索を取り巻くミエリンが破壊される多発性硬化症の研究に用いられている。本研究は口腔内細菌の神経疾患に与える影響、ならびに口腔内細菌と脳血液関門の間の未知なる関係の解明に挑戦する。前年度の結果、P.gingivalisはCPZ誘導脱髄が増悪化し、ミエリンレベルが低下していた。今年度は、P.gingicalisが神経炎症レベルを亢進させる結果を得た。神経炎症レベルの増加が脱髄病態の悪化を引き起こすと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EAEモデルマウスにおける解析が完了していない。急ぎ解析を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
EAEモデルマウスに菌体由来成分の投与量を変化させて投与し、神経病態を詳細に解析する。神経病理学的解析は、ミエリンの状態を電子顕微鏡観察や組織染色、ニューロンやグリア細胞の状態や病変部への炎症・免疫系細胞の浸潤は免疫組織学的解析を行う。行動学的解析は、四肢の麻痺などを指標としたEAEスコアリングやローターロッド等の運動能力試験を行う。
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Causes of Carryover |
理由 EAEモデルマウスの解析が完了していないため。
使用計画 EAEモデルマウスの実験を急ぎ遂行する。
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Research Products
(2 results)