2016 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いた鎖骨頭蓋異形成症モデルマウスの作成と解析
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16K15780
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宿南 知佐 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (60303905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 重徳 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (70511244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯学 / 骨形成 / Runx2 / ゲノム編集 / 変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、常染色体優先遺伝の疾患である鎖骨頭蓋異形成症のモデルマウスの系統を、ゲノム編集技術を用いてミスセンス変異を導入することによって確立した。マウスRunx2遺伝子は17番染色体に存在し、8つのExonから構成され、DNA結合を担う128アミノ酸残基からなるRuntドメインはExon2からExon4にコードされており、核局在化シグナル (NLS)はExon 4とExon 5にコードされている。高活性型のPlatinum TALENと一本鎖DNAを用いて、NLSをコードするExon4上に存在する塩基をGからAに置換し、アミノ酸がアルギニンからグルタミンに変化するミスセンス変異を導入した。Non-homologous end joiningエラーによる変異個体とHomology directed repairによってノックイン (KI)されたKI個体と区別できるように、一本鎖DNAにはミスセンス変異だけでなく、サイレント変異によってApaI切断部位を導入した。受精卵へのmicroinjectionによって得た複数のファウンダーマウスより、Runx2欠失マウスとRunx2ミスセンス変異マウスの2系統を確立した。野生型マウス、Runx2ミスセンス変異ホモマウスとヘテロマウス、Runx2欠失ホモマウスとヘテロマウスの骨格標本を作製し、膜性骨化と軟骨内骨化に対する影響を解析した。更に、これらの組織切片を作成し、トルイジンブルー、ヘマトキシリン・エオジン染色、アルカリフォスファターゼ染色、in situ hybridizationを行って、軟骨・骨形成過程にRunx2のミスセンス変異が及ぼす影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より予定していた、鎖骨頭蓋異形成症を呈するミスセンス変異を有するマウスの系統を樹立することに成功した。骨格標本、組織切片を用いた解析も、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロCTを用いて、ミスセンス変異ヘテロマウスの生後における解析を進め、鎖骨頭蓋異形成症のモデルマウスとしての有用性を更に検討する。ミスセンス変異が導入されたRunx2遺伝子から翻訳された蛋白質の発現局在、動態について解析する。ScxGFP Tgとの交配を行い、歯・歯周組織形成過程におけるRunx2の役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも、遺伝子改変動物の維持費用が少なかっため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子改変動物の維持費用として用いる。
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