2016 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド性骨粗鬆症の病因となるグルココルチコイドレセプター標的遺伝子の同定
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16K15781
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小守 壽文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00252677)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Fkbp5 / グルココルチコイド / ステロイド性骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / 骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイド剤は、現在でも多くの炎症性疾患や自己免疫疾患の効果的治療薬であり、ステロイド剤の投与によって生じる骨粗鬆症は二次性骨粗鬆症のなかで最も頻度が高い。ステロイド剤の治療を長期に受けている患者の30-50%が骨折を起こす可能性がある。ヒトのステロイド剤治療では、早期の骨吸収の増加により、急激な骨密度の低下をきたす。そして長期に続く骨形成の低下により、さらに骨密度は低下していく。ヒトでは海綿骨が主に低下し、椎体や大腿骨頚部骨折を起こす。ステロイド剤投与により、骨芽細胞および骨細胞のアポトーシス誘導とWntシグナルの抑制が起こり、骨形成が抑制され骨量減少が起こると、これまで多数報告されてきた。Fkbp5-/-マウスは、ステロイド剤投与により著明な骨量減少を来したが、アポトーシスの有意な増加は認めず、Wntシグナルの抑制も軽度であった。一方、ステロイド剤投与は、osteoprotegerin (Opg)発現の抑制、Rankl発現の誘導、さらに破骨細胞の寿命の延長により骨吸収を促進させると報告されてきた。これらに関しては、我々のFkbp5-/-マウスでも一致した結果が得られた。 ステロイド剤投与による骨形成抑制作用に関わるグルココルチコイドレセプター(GR)の標的遺伝子を同定するために、野生型マウスおよびFkbp5-/-マウスにデキサメタゾン(2mg/kg)あるいはその溶媒のみを4週間投与し、骨芽細胞分画、骨細胞分画よりRNAを抽出、マイクロアレイ解析でステロイド剤投与により変動する遺伝子を調べた。野生型マウス、Fkbp5-/-マウス両者で減少あるいは増加し、その程度がFkbp5-/-マウスでより顕著な遺伝子を選択した。リアルタイムRT-PCR により再現性を確認、さらにChIPアッセイを行い、既知情報も加味して、1遺伝子に絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステロイド剤投与による骨吸収促進作用の分子メカニズムに関しては、明らかにできた。骨形成抑制作用に関しては、野生型マウスおよびFkbp5-/-マウスにデキサメタゾン(2mg/kg)あるいはその溶媒のみを4週間投与し、骨芽細胞分画、骨細胞分画よりRNAを抽出、マイクロアレイ解析でステロイド剤投与により変動する遺伝子を調べた。その後、リアルタイムRT-PCR により再現性を確認、さらにChIPアッセイを行い、データベースからの情報検索も行った。その結果、ステロイド剤投与による骨形成抑制作用に関与するGRの標的遺伝子候補を1遺伝子に絞り込むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
選択した遺伝子の骨芽細胞特異的トランスジェニック(tg)マウスを作製し、Fkbp5-/-マウスと交配、Fkbp5-/-tgマウスを作製、ステロイド剤投与実験を行い、この遺伝子が、ステロイド剤投与による骨形成抑制に関与するか、以下の手法により検証する。 1. この遺伝子の発現ベクターを作製、初期培養骨芽細胞に導入後、デキサメタゾンを加え、骨芽細胞分化を調べる。 2. 骨芽細胞特異的2.3 kb Col1a1プロモーター下流にこの遺伝子を挿入したコンストラクトを構築、 tgマウスを作製する。 3. tgマウスとFkbp5-/-マウスを交配、Fkbp5-/-tgマウスを作製する。 4. 8週齢の野生型マウス、Fkbp5-/-マウスおよびFkbp5-/-tgマウスにデキサメタゾン(2mg/kg)を4週間毎日注射する。カルセインラベルもしておく。マイクロCTを用いた海綿骨量、皮質骨幅の測定、骨組織形態計測、および血清オステオカルシンの測定により、100デキサメタゾンの骨形成に対する作用を比較検討する。また、骨芽細胞マーカー遺伝子(Runx2, Sp7, Col1a1, Spp1, Bglap2)発現をリアルタイムRT-PCRで調べる。
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Causes of Carryover |
予算不足のため、ChIP-sequence 外注を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リアルタイムPCR試薬の購入に充てる。
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[Journal Article] Immunohistochemical analysis of dentin matrix protein 1 (Dmp1) phosphorylation by Fam20C in bone: implications for the induction of biomineralization2017
Author(s)
Oya K, Ishida K, Nishida T, Sato S, Kishino M, Hirose K, Ogawa Y, Ikebe K, Takeshige F, Yasuda H, Komori T, Toyosawa S
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Journal Title
Histochemistry and Cell Biology
Volume: 147
Pages: 345-351
DOI
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