2016 Fiscal Year Research-status Report
蛍光標識した摂食関連ペプチドの投与による受容体発現量とカルシウム応答の相関解析
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16K15783
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 真之 日本大学, 歯学部, 教授 (00300830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 功紀 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50525798)
崔 翼龍 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, ユニットリーダー (60312229)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光標識 / 受容体 / アゴニスト / カルシウム測光 |
Outline of Annual Research Achievements |
受容体に作用する薬物に対する影響を単一ニューロン単位で観察した場合、その効果が乏しいものから、非常に強い効果が認められるものまで幅広い応答が認められることが知られている。従来このような効果の強弱は細胞レベルでのばらつき、個体差として処理されるが、そのばらつきが発生するメカニズムに関しては不明な点が多い。本研究では細胞によって発現している受容体数が異なるという仮説に基づき、蛍光標識を行ったペプチドを投与し、集積による蛍光強度が細胞単位で異なるのかを検討した。 実験にはニューロンの種類を同定するため、抑制性ニューロンが緑色蛍光で標識された遺伝子改変動物であるVGAT-Venusラットを用いた。ウレタン麻酔下のラットの頭蓋骨に、直径約1mmの骨窓を形成し、硬膜を除去した。その後、蛍光標識したソマトスタチンアナログ(SS-A)を負荷し、神経細胞周囲に集積する蛍光物質を2光子励起顕微鏡で観察した。また、そのSS-Aによる生体反応を、血管の収縮を指標として検討した。 SS-Aの集積の有無を興奮性、抑制性それぞれのニューロンにおいて集計した。その結果、大脳皮質2/3層に相当する表層から200-250μmの深さでは、興奮性ニューロンの約1/3で蛍光物質が集積し、残る2/3では集積は認められなかった。一方で抑制性ニューロンでは、約10%で興奮性ニューロンでは認められなかった強い集積を示し、残る90%のニューロンでは集積したもの、認められなかったものが半数ずつであった。中大脳動脈の血管径を指標として、蛍光強度と収縮量の経時変化を記録したところ、血管壁でのSS-Aによる輝度が高くなると共に血管が収縮した。これらのことから、神経細胞によってSS-Aの集積量にばらつきがあること、蛍光輝度と誘発される生体反応は比例関係にあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度ローダミン標識したソマトスタチンによる受容体の結合量と血管径の相関関係を検索してきた。その結果、正の相関があることを見いだした。現在、蛍光標識したオレキシンの作製に成功するとともに、細胞内カルシウム濃度の変化について検討を開始しており、カルシウム測光に関わる技術的問題はクリアしている。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光標識したオレキシンによるカルシウム濃度の上昇を大脳皮質で観察する。 受容体の可視化が実現した後,カルシウム指示薬であるOregon green BAPTAを負荷した脳スライス標本を作製する(Kobayashi et al., Neuroscience, 1999)。そして共焦点レーザー顕微鏡を用いて,励起波長を瞬時に切り替えるAlternativeモードで撮像することで,細胞内Ca2+濃度とオレキシン受容体の同時測光を行う。 人工脳脊髄液を灌流している状態をcontrolとして撮像を開始する。撮像間隔は2秒とし,退色を抑制するために,露光時間を最小限にする。30-60秒後にペプチドの滴下投与を行い,カルシウム応答の変化を記録する。撮像後,細胞上にRegion of interest (ROI)を設定して,ROI上におけるカルシウム応答の経時的変化を解析する。この手法によって,個々の細胞における受容体発現量と細胞内Ca2+濃度の測定が可能になり,本研究の目的である受容体の発現量と神経活動に対する影響の大きさの相関を詳細に調べることが出来る。 さらに、in vivoにおけるカルシウム測光によって、スライス標本で得られた知見がin vivoで再現できるか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
オレキシンの合成が予想より早く成功したため、実験にかかる消耗品費が安く抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、オレキシンの合成費用がかさむため、余剰分と次年度予算を使用してオレキシン合成にかかる消耗品を購入する。また、実験に使用する動物の購入および麻酔薬などの薬品類、画像データ保存用のハードディスクなどを購入する予定である。また、成果発表として国内の学会に参加する費用にも使用する。
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Research Products
(2 results)