2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症と組織再生のクロストークから展開するmiR-21による歯髄炎制御と硬組織誘導
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16K15795
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川島 伸之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60272605)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | miR-21 / 歯髄炎 / 歯髄幹細胞 / 炎症制御 / 分化誘導 / 炎症性メディエーター / マクロファージ / NFkB |
Outline of Annual Research Achievements |
う蝕に継発して歯髄炎が惹起された場合、その歯髄炎が不可逆性であれば抜髄処置を余儀なくされる。歯髄組織を失った歯は、歯牙破折を起こしやすく、歯を喪失する機会が増加する。口腔内に歯を保存する上で歯髄組織の保全は重要な要件である。そのためには、歯髄炎を制御し、健全な歯髄組織を回復するための手法の確立が望まれる。歯髄炎を制御し、歯髄組織を温存するためには、細菌性侵襲を排除するとともに、歯髄の炎症を緩和し、治癒および組織再生に進ませることが必要である。本研究の目的は、炎症と組織再生のクロストークから歯髄炎制御の手法の確立を目指すことである。今回、炎症時に産生が亢進するマイクロRNA(miRNA)の一つであるmiR-21 に着目した。miR-21 は、炎症の進行に伴い産生されるmiRNA の一つで、炎症性サイトカインの産生を制御するのみならず、組織修復機能、特に硬組織形成細胞分化誘導能を有すると報告されている。現在までに、株化マクロファージRAW264およびヒト抜去歯より分離した歯髄幹細胞からのmiR-21 産生がLPSにより誘導されることを明らかにした。またその誘導にはNFkBカスケードを介することを明らかにした。またmiR-21を強制発現することで、これらの細胞からの炎症性メディエーター産生が抑制されることを明らかにした。すなわち、miR-21は炎症反応を抑制する機能を有しており、歯髄炎を制御できる可能性が示唆される。今後さらに歯髄幹細胞の硬組織形成細胞への分化誘導の可否について検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症反応に対するmiR-21の作用について、順調に解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後治癒反応、硬組織誘導に対する作用について検討を行う予定である。またin vivoにおけるmiR-21の効果についても検討を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初、動物実験も予定していたが、細胞培養実験のみで終始してしまい、動物実験にて使用を予定していた経費が差額として出てしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度においては、動物を使用した実験を優先的に行うことを検討している。繰越額は動物実験の経費として有効に活用される。
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