2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15799
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小野 高裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30204241)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食嚥下リハビリテーション / 舌 / 圧 / ゼリー / テクスチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
試作した9種類の破断特性を有するゼリー資料を用いて、ゼリー摂取の各過程における 舌圧発現様相を解析し、初期テクスチャーとの関係について検討した。被験者は、若年健常有歯顎者男性7名(平均年齢28.0±3.7歳)を対象とし、舌による最初の押しつぶしを[Initial squeeze]、最後の押しつぶしを[Last squeeze]、その間の押しつぶしを[Middle squeeze]と定義、嚥下を[Swallow]と定義した。その結果、[Initial squeeze]および [Middle squeeze]における舌圧最大値は、ゼリーの初期破断荷重が大きい程大きく、ゼリーの初期破断歪が大きい程小さかった。特に、[Initial squeeze] においては舌圧最大値の変動幅はゼリー間で約3倍と大きく、最も高い舌圧を示したゼリーでは最大押し付け舌圧の90%に及んでいた。一方、 [Last squeeze]および[Swallow]においてはゼリー間で舌圧最大値に有意な差は認められず、最大押し付け舌圧の20~37%であった。以上のことから、舌はゼリーの初期の破断特性に応じて口蓋との接触強さを幅広く調整しながら食塊を形成し、最終的に押しつぶしより小さく、一定の範囲に収束した舌圧で嚥下していることが示唆された。 一方、上記9種類のゼリーのうち4種類を用いて、舌圧測定とビデオエックス線透視検査(VF)を同時に施行し、ゼリーの摂取過程における舌圧発現と舌骨移動、食塊移動の関連性について解析した。舌圧のOnsetとPeakはCh.2→Ch.1→Ch.3,4,5の順に発現し、各Ch.のPeakは舌骨が最前上方位に位置する間に発現した。これらのことから、口蓋正中中央部は舌押し潰しの起点かつ最大の力点であると考えられた。また、舌押し潰しでは舌圧発現と舌骨移動が協調することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した実験計画のうち、 1)種々の物性をもつゼリーの試作 が早期に終了し、 2)ゼリー摂取時の生体計測 のうち、口腔期の評価が順調に進行して、いくつかのテクスチャーと舌圧発現との間に明瞭な関連性が得られ、咽頭期の評価においても舌圧と舌骨移動との間に協調性が認められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度試作した9種類のゼリー試料のうち、破断強度と破断歪みの異なる4種類のゼリーを用いて、舌圧測定とビデオエックス線透視検査(VF)を同時に施行し、ゼリーの摂取過程における舌圧発現と舌骨移動、食塊移動の関連性について解析を行うとともに、ゼリーの初期物性が及ぼす影響についてさらに詳細な検討を加える。 具体的には、舌圧波形とVF画像より舌押し潰し1回目と嚥下区間、舌押し潰し回数を特定し、舌圧では舌押し潰し1回目と嚥下区間における舌圧最大値、舌圧持続時間、タイミング(舌圧のonset,peak,offset)を分析項目とし、VF画像では舌骨最高移動速度、舌骨移動距離(総移動距離,前方方向,上方方向)、舌骨移動時間、タイミング(舌骨移動のonset, 舌骨最前上方位,offset)を分析項目とする。 上記のパラメータより、ゼリーの初期物性が口腔期・咽頭期に及ぼす影響を包括的に検討し、今後の嚥下調整食の開発に有益な情報を得る。
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Research Products
(3 results)