2016 Fiscal Year Research-status Report
唾液分泌促進機能を有するドライマウス義歯患者用粘膜活性口腔保湿ジェルの創製
Project/Area Number |
16K15806
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 比呂司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40229993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
高瀬 一馬 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90736836)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 歯学 / 補綴・理工系歯学 / 口腔保湿ジェル / ドライマウス / 唾液分泌 / 粘度 / 接合力 / 水溶性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の多くは義歯を装着しているが、多くがドライマウス(口腔乾燥症)を自覚しており、唾液分泌量の減少は義歯の維持安定性の低下および褥瘡性潰瘍などの病変を引き起こす。そこで本研究では、国内外を通じて初の試みとなる、①唾液分泌促進作用と粘着作用を促進すると考えられるポリグルタミン酸と②抗酸化作用による粘膜損傷治癒作用を有する白金ナノコロイドを応用し、さらに③粘弾性特性と粘着性も付与したドライマウス義歯患者用口腔保湿ジェルを創製することを目的とした。 当初計画ではまず白金コロイドとポリグルタミン酸の効果を検討する予定であった。しかしながら、研究計画を詳細に検討したところ、まず基剤となる口腔保湿ジェルの物性についての検討が必要と判断した。 物性については、水溶性高分子であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)とメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体(PVM-MA)を含有する水溶液を用い、粘度および床用レジンに対する粘着性について検討を行った。水溶性高分子と蒸留水との割合(粉液比)は、0.125,0.250,0.375,0.500とした。またPVM-MAとPVM-MAの割合は、100:0,75:25,50:50,25:75および0:100の5種類とした。測定方法は万能材料試験機による引張試験を行った。 研究成果の一部は、日本歯科理工学会や日本義歯ケア学会等で学会発表等を行った。粘着性(接合力)に関しては、濃度よりも、CMC-NaとPVM-MAの成分の割合が大きく寄与することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画ではまず、白金コロイドとポリグルタミン酸の効果を検討する予定であった。しかしながら、まず口腔保湿ジェルの基剤となる成分を決定して、その後、白金コロイドとポリグルタミン酸の効果について検討するほうが、より効果的に研究が遂行できると判断した。そこでまず口腔保湿ジェルを構成する成分と粘着性および粘度についての測定を行った。その結果、本剤の組成の決定に有用な知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は主として構成成分であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)とメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体(PVM-MA)が義歯床への粘着性に及ぼす影響について検討した。平成29年度はこれら水溶性高分子と粘度、および動的粘弾性との関係について、詳細に検討する予定である。これらレオロジー的評価が終了し、基剤である口腔保湿ジェルの成分を決定したのちは、白金コロイドとポリグルタミン酸の効果を評価する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初計画ではまず、白金コロイドとポリグルタミン酸の効果を検討する予定であった。しかしながら、まず口腔保湿ジェルの基剤となる成分を決定して、その後、白金コロイドとポリグルタミン酸の効果について検討するほうが、より効果的かつ効率的に研究が遂行できると判断した。本年度は口腔保湿ジェルを構成する成分と粘着性、粘度との関係について検討を行った。そのため比較的高い購入経費を要すると考えられる白金コロイドとポリグルタミン酸を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は主として材料学的検討を行い、主要成分が義歯床への粘着性に及ぼす影響について一定の知見を得た。29年度以降は、成分である水溶性高分子と動的粘弾性との関係について検討するとともに、白金コロイドとポリグルタミン酸の効果を詳細に評価する予定である。そのためとくに白金コロイドとポリグルタミン酸、およびこの評価に要する器材等の購入をする予定である。
|
Remarks |
一般市民を対象とした義歯のQOLへの寄与や義歯のケア等について、コラムを掲載した(読売新聞、朝日新聞、北海道新聞、河北新聞、中日新聞、中國新聞、西日本新聞でそれぞれ12回)
|
Research Products
(21 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Study protocol for a multi-center, randomized controlled trial to develop Japanese denture adhesive guidelines for patients with complete dentures: the Denture Adhesive Guideline trial: study protocol for a randomized controlled trial2017
Author(s)
Kimoto S, Kawai Y, Gunji A, Kondo H, Nomura T, Murakami T, Tsuboi A, Hong G, Minakuchi S, Sato Y, Ohwada G, Suzuki T, Kimoto K, Hoshi N, Saita M, Yoneyama Y, Sato Y, Morokuma M, Okazaki J, Maeda T, Nakai K, Ichikawa T, Nagao K, Fujimoto K, Murata H, et al.
-
Journal Title
Trials
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 義歯安定剤の基礎と正しい患者指導2016
Author(s)
村田比呂司,山田真緒,岡﨑ひとみ,高瀬一馬,江越貴文,廣沢恵介,森 智康
Organizer
第23回日本歯科医学会総会
Place of Presentation
福岡国際会議場/福岡サンパレス(福岡県・福岡市)
Year and Date
2016-10-21 – 2016-10-22
-
-
-
-
[Presentation] 義歯安定剤使用の影響に関する多施設無作為化比較試験 -サブグループ解析による検討-2016
Author(s)
大和田 学,秋葉徳寿,市川哲雄,岩城麻衣子,大久保 舞,岡崎定司,金澤 学,河相安彦,木本克彦,木本 統,駒ヶ嶺友梨子,近藤尚知,佐藤佑介,鈴木哲也,添田ひとみ,洪 光,坪井明人,西村正宏,西 恭宏,濵 洋平,馬場優也,濱田泰三,細井紀雄,村田比呂司,山賀栄次郎,米山喜一,水口俊介
Organizer
第125回日本補綴歯科学会学術大会
Place of Presentation
石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢(石川県・金沢市)
Year and Date
2016-07-09
-
-
-
[Presentation] 義歯安定剤の粘弾性特性の温度依存性2016
Author(s)
岡﨑ひとみ, 吉田和弘, 高瀬一馬, 黒木唯文, 村田比呂司
Organizer
第67回日本歯科理工学会学術講演会
Place of Presentation
九州大学医学部百年講堂(福岡県・福岡市)
Year and Date
2016-04-16 – 2016-04-17
-
-
-
-