2016 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化型ナノレドックス粒子による新たなインプラント周囲炎治療法の開発
Project/Area Number |
16K15814
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 克彦 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70205011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 勝一郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (60593639)
齋田 牧子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (70612943)
大野 晃教 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (00611633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 炎症 / 活性酸素 / 抗酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、インプラント周囲炎は、炎症と密接に関連している活性酸素種 (ROS) が一要因であることが明らかとなってきた。しかし、この ROS を消去・中和する抗酸化作用を利用した薬剤は、既に医科領域においては活躍しているものの、歯科領域においては臨床応用がなされていない。我々はこれまでに、ROS を効果的に消去することが可能な新規ナノレドックス粒子(レドックスインジェクタブルゲル)を作製し、ROS と関連すると言われている歯周炎モデルに対し、抗炎症・抗酸化作用及び骨吸収抑制効果を実証してきた。このレドックスインジェクタブルゲルは、局所特異性を持ち、副作用がないという特長を持つ。本研究では、医工連携を強化し、さらに対象疾患を広げ、レドックスインジェクタブルゲルによるインプラント周囲炎に対する抗炎症・抗酸化作用を評価することを目的とした。本年度においては、まず、炎症が報告されているインプラント周囲炎モデルの作製を試みた。5週齢の Sprague-Dawley ラットの第一大臼歯部抜歯窩にミニスクリューを埋入し、炎症・酸化及び骨形態について評価検討を行った。これらの評価には、マイクロ CT 撮影、組織切片による形態の観察を行った。現在、これらのデータについて解析を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究計画に従い、実験的インプラント周囲炎モデルの作製を行った。 8週齢の雄性Wistar系ラットを用いて、口蓋部に長さ4mm,幅2mmの純チタン製インプラント体を埋入し、P.g.-LPSをインプラント周囲組織に間欠投与し、炎症を誘発させた。 その結果、P. g-LPS 投与後7日間経過後、周囲歯周組織に著明な炎症とエックス線所見より周囲骨の吸収が観察され、ラットに対して実験的にインプラント周囲炎を惹起させることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては、インプラント周囲炎モデルにおけるレドックスインジェクタブルゲルの抗炎症・抗酸化効果とそのメカニズムの解析を行う予定である。In Vivo の評価では、 脂質過酸化による評価を中心に行っていく予定である。炎症部位において、脂質等の過酸化が報告されていることから、組織内における8-OHdG(DNA 酸化ストレス損傷マーカー)による ROS の定量を行う。また、組織切片において、ニトロチロシン、HEL(蛋白酸化損傷マーカー)により酸化を評価していく予定である。In Vitro の評価では、まず 8 週齢の雄 Sprague-Dawley ラットの骨髄より採取した骨芽様細胞を培養し、過酸化水素による酸化状態を再現する。この条件下において、レドックスインジェクタブルゲルの抗酸化能による骨芽様細胞の接着能・増殖能 (Cell proliferation assay; WST-1,Cell count)、ならびに分化能 (アルカリフォスファターゼ活性・染色, Von kossa 染色) の変化を調べる予定である。また、骨代謝に関するパラメーターについても評価していく予定である。
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