2016 Fiscal Year Research-status Report
Effect of Osteopontin Derived Peptide on Palatal Surgery
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16K15821
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (20205371)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋機能再生 / 口蓋裂手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
成犬口蓋帆線維化モデルを作製する目的でビーグル成犬(体重10-12 kg)を用いた。全身麻酔経口挿管下、仰臥位にて固定後、左右軟口蓋に2cm程度の切開にて口蓋帆挙筋等軟口蓋筋層上を一定範囲剥離して筋層を明示後、一旦閉創し瘢痕化を誘導した。2W後に20mm径のSV蛋白含浸ゼラチン(生体吸収性ゼラチンスキャホールドMedGel® SP(メドジェルSP))を右側の瘢痕形成部位(実験側)、SV蛋白(シス-トランス異性体)含浸ゼラチンもしくはPBS含浸ゼラチンを左側(対照側)にそれぞれ埋入し、再度閉創した。2Wの回復期間の後(SV埋入2W後)、全麻下で双極電極を用いて再呼吸条件、肺感覚受容器刺激条件下で軟口蓋筋からの筋活動を記録したところ、SV埋入側で対照側と比較して有意に筋電図波形の最大振幅ならびに筋活動量が増大する傾向を示すことが明らかとなった(5匹中3匹)同傾向は長期モデル(埋入後8W)においても同様に観察された。 次に埋入8W後に摘出した軟口蓋組織を免疫組織学的に検索したところ、Western blottingにおいてタンパクレベルでのCollagen typeⅢのバンドがSVペプチドにおいて確認された。また、リアルタイムPCRにより遺伝子レベルにてCollagen typeⅢの産生能力が確認された。さらに、組織染色ではコントロールと比べSVペプチドにてsmooth muscle actin (SMA)の分布が多く染色され、組織中の繊維芽細胞が筋線維芽細胞に分化していることが確認できた(3匹中1匹)。以上の結果は口蓋裂一次手術時に筋束形成が十分に行えない筋発育不全症例や術後瘢痕拘縮等により鼻咽腔閉鎖機能不全がみられる症例に対してSVが筋機能収縮能を改善させる可能性があることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口蓋帆線維化モデルを一定の条件で作製することができており、SV蛋白による筋機能賦活作用を支持する結果が生理機能実験と免疫組織学的実験両者から得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
口蓋帆線維化モデルに加えて、筋発育不全症例を想定して軟口蓋筋を一定範囲切断したモデルを作製しSVによる機能再生が誘導されるか検証を行う。合わせて鼻咽腔ファイバースコープを用いて、SV投与前から投与後3ヶ月を目安に軟口蓋部挙上運動がどの程度改善されるか評価を行う。さらに免疫組織学的にcollagen type III, SMA等のマーカー発現様相を定量的に評価していく。
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Causes of Carryover |
免疫染色用抗体の購入を一部次年度に繰り越したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記抗体購入費用の一部に充当する予定
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